感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
55
実家帰省中に父から「この本を読んだことがあるか?」と尋ねられ、お勧めされた本です。12人もの死者が乗っていたバスには警官がいてその警官の手には拳銃が握られていた。彼らを殺したのが精神異常者であるという見方が強い中、警官達は真実を追求する。とにかく、捜査に関わる警官たちが家庭不和などという生活臭とそれぞれの性格を生かした捜査方法を確立している描写に感嘆のため息が零れます。亡くなった警官のコンプレックスに気づく場面は胸を締め付けられます。最後に「ああいう犯人が一番、嫌いだ」という意見に心から同意します。2013/03/25
geshi
32
バスの中の銃乱射事件という引きの割に地味だったり、スウェーデンの人名・地名が分かりにくかったりはするが、社会を表からも裏からも書く警察小説として良作。シリーズだったのかと思うぐらい人物描写がしっかりしていて、それぞれに特徴やアクの強さや家庭面を持っている刑事たちが、自らの信条や推理に沿って捜査をする姿が印象深い。反面、皆が勝手に動いていて事態が全く進まないから中盤の停滞感は意図的なものにせよ強く感じてしまう。まあ、その分だけ終盤の捜査がかみ合っていくカタルシスは気持ちいい。2022/08/26
背番号10@せばてん。
29
【ガーディアン必読1000】【1971_アメリカ探偵作家クラブ賞】【1985版_東西ミステリーベスト100_海外部門30位】【2012版_東西ミステリーベスト100_海外部門30位】1991年6月24日読了。刑事マルティン・ベック_第4弾。あらすじは忘却の彼方。1991/06/24
tsu55
26
冷たくて湿った空気に覆われるストックホルムの街。 クリスマスイヴの家族団らんも台無しにされて、捜査に駆り出される刑事たち。手がかりが極めて少ない事件。序盤から中盤まで五里霧中でほとんど進展がなく、わずかな可能性をひとつづつ潰していく地道な捜査が続く。読んでいていささかダレかかるが、終盤に入ってから一気にパズルのピースが嵌っていく気持ちよさ。このシリーズは好きになりそう。【ガーディアン1000】2024/07/15
空猫
23
シリーズを最初から読み見直し再読。やはり最初から読む方が良い。本作が評価が高いだけあって、以前作とは別格の感あり。何重にも練られた構成と人間描写を楽しめた。足で地道に捜査した男臭い古き良き警察小説。やはり未解決事件は警察のミスから生まれるのだろうか…時代を物語るには犯罪視点が面白いね。犯罪は人の業から生まれるわけだしね。この作品に多大な影響を与えたという[八十七分署シリーズ]も読んでみようかな。ところでオーサは捜査の実験のための女だったのか??だとしたら酷い話だ(-"-)2016/12/01