角川文庫<br> 見知らぬ乗客 (改版)

角川文庫
見知らぬ乗客 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 432p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784042518020
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

新進建築家ガイは、妻と離婚するため故郷へ向かう列車の中で一人の青年と出会う。チャールスと名乗る男は、富豪の息子で、父を偏執的に嫌悪していた。狂気じみたように父を語る彼に、ガイはふと、妻とのトラブルに悩んでいると打ち明ける。彼の妻ミリアムは、他人の子供を身ごもりながら、離婚に応じようとしない、と。ガイに同情したチャールスは、驚くべき計画を持ちかける。彼がガイの妻を殺すかわりに、ガイに自分の父を殺してくれと言うのだ…。特殊な状況に置かれた人間たちの心理と行動を綿密に描き出した、ハイスミスの処女長編、待望の復刊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

204
「太陽がいっぱい」のハイスミスによる 心理ミステリーである。 映画化されたらしいが、原作は正直 殺人に至る動機があまりにも弱く、 設定も やや強引な印象が否めない ..ガイ視点の展開は ガイの怯えと ブルーノーの執拗さが理解できず 正直 戸惑う ..最後の展開も、もう少し..という印象の ミステリーだった。2017/05/08

セウテス

58
〔再読〕心理ミステリー、そう呼ぶべきジャンルです。ヒッチコック監督が何作も彼女の作品を映画化し、アラン・ドロンのデビュー作『太陽がいっぱい』は世界中で読まれています。彼女が亡くなるまで、その評価が定着しなかった事は残念でなりません。この話は事件をと通して、登場人物たちの心理の変化、立場による心理の違いが迫って来る様な鋭さで描かれています。人物設定が事細かで特に交換殺人の両端の二人の心情は、正に自分が本人になった様な錯覚を覚えます。ミステリーに於いて、交換殺人というスタイルを確立させた特筆すべき作品です。2014/11/28

harass

52
ハイスミス長編の第一作。建築家の主人公は列車で奇妙な男に出会う。富豪の男からある提案をされる。主人公の悩みの種の妻を殺してやるから、自分の父を殺してくれと。主人公は同意するが本気には取っていなかった。そして妻が殺される…… この作家は以前ハマっていてほとんどの作品をよんでいたのだが、今回の再読でずいぶん中断した。最近エンタメ系のものに慣れていたせいかこの心理小説にノレなかった。ちょっとくどいかと感じるところもあった。まあ予測不可の展開なのだが。この作家特有の個人主義的な倫理観がかいま見えた。2016/01/28

Wan-Nyans

44
★★★☆題名にまず惹かれた。”見知らぬ乗客”から持ちかけられる交換殺人。その相手は慣れ慣れしくも憎めないが、精神的に不安定で制御が難しく、次第に困難な状況に陥っていく。なぜ彼の要求を拒否出来ず殺人まで犯してしまうのか?推理小説というよりは心理サスペンスで最後まで目が離せない。互いの心理状態が細やかに描写されるが、訳文が古いからか直訳が多くて読みにくく、読了に時間がかかってしまった。それでも終盤はスリリングで一気に読了。ヒッチコックの映画も観てみたい。「太陽がいっぱい」の作者の処女作でもある。2020/05/22

藤月はな(灯れ松明の火)

41
流石、パトリシア・ハイスミス。映画原作になった『太陽がいっぱい』でのトムとフィリップ同様、ブルーノーとガイの関係性は依存要素が強い恋愛感情にしか見えません。そのため、一度、会った関係なのに勝手にガイの妻を殺し、自分の父を殺してくれるようにガイに付きまとうブルーノーはストーカーそのもの。そしてガイも真相が話せないために助けも呼べず、孤立していき、罪を犯すようになるまでは冗長に見えて徐々に張り詰める緊迫感が溢れています。そして探偵が『罪と罰』のポルフィーリーみたいなので見込まれた時に同情せざるを得ませんでした2015/12/29

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