内容説明
妹が香港で死んだ。警察は「自殺」だっていうが、おれは信じない。サリーが自殺なんかするわけないんだ。あいつは、あの街で、ジャーナリストの仕事を楽しんでいた。一途なあいつのことだ、何かやばいネタを探っていて殺られたにちがいない。おれは事件があるところなら世界中どんな危険なところへでも飛んでいく遊軍記者だ。何か裏がある。そんなことぐらい片目をつむっていてもわかる。香港在住の気鋭のジャーナリストが描くブリティッシュ・ハードボイルド。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
13
ロンドンのタブロイド紙記者が「おれ」で登場するハードボイルド。アル中から回復しつつある中年記者が暴れ回りはしない、程は心得た小説。植民地が後程なく終わる香港で、彼の妹が謎の死を遂げる。自殺という連絡に納得できない主人公は現地に飛ぶ。変換後の混乱を恐れて資産を対比させる金持ち、滞留するベトナム難民等に揺れ動く同地で、主人公は現地黒組織を含む様々な人脈に翻弄されつつ真実に近づく。全編は妹との関係や事故の職業に関する回想が、香港や中国本土、更にロンドンを舞台とする急激な展開の間に織り込まれる。掘り出し物の佳作。2021/12/30
かんとり
2
チャイナマンを読んで面白かった記憶があるので、検索でみっけたファイアマンも読んでみた♪ ブンヤが主人公の一人称、香港を舞台にしたハードボイルドタッチのミステリですな。 酒に女に、たまの皮肉の効いた台詞がたまらない・・・笑 主人公はよわっちいけど、裏の顔を持つ大富豪を味方につけるなど、妙に気になる「オレ」でした。2015/08/22