内容説明
ブルースはやるかたない苦みからしぼりだされる。デイヴ・ロビショー―元ニュー・オーリンズ警察警部補。わけあって、今は貸しボート屋の主人。妻を殺された悪夢から覚めやらぬ日々のなか、ふと立ち寄ったバーで旧友のブルースマンと出くわした。男は面倒事に巻き込まれていた。ロビショーは関わりたくなかった。ロビショーのもとに狂気に満ちた脅迫状が舞い込んだ。守るべきものはなにか。たち戻れぬ過去に復讐するかのようにロビショーは北へ向う―。’90MWA長編賞を受賞した香り高きハードボイルド・ロード・ノベル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
78
「ネオンレイン」から続くベトナム帰りの元刑事が主人公のシリーズ物の一つ。ネオハードボイルド。愛する妻アニーが殺害され失意の中のロビショーは、偶然に旧友の音楽家と出会い、ロビショー宛の脅迫状が届いた…… 何度も中断していた。前作の「天国の囚人」から感じていたあまりの描写の量の多さに辟易していたのだ。だが、考え直してみると、醜悪な人間たちとの対比としての、超然とした美しい自然描写と考えてみると、それは意味があるものだと感心する。ただ、スピーディーな展開が売りの今風のエンタメ小説とは真逆のスタイルだが。良書。2019/06/12
hit4papa
59
妻を目の前で射殺された元刑事が主役のハードボイルド。貸しボート屋を営み、難民の養女と共に平穏な日々を過ごす主人公は、旧友と再会してから、生活が掻き乱されていく。主人公は、降りかかる火の粉を払うべく、単独捜査に乗り出すのだった…。時折亡き妻が夢枕に立つという、主人公のトラウマが全編に暗い影を落としています。腕っぷしがそこそこ強くはあるものの、人間的な弱さもあるという設定が効いています。脇役たちのキャラも良い。溜飲が下がるような派手さはありませんが、錯綜する人間関係を紐解くようにじっくりと読み込める作品です。2023/04/03
Ribes triste
17
「ネオン・レイン」後、警察の職を辞し、釣船屋の経営者になったはずなのに、ロビショーは再びトラブルに巻き込まれる。友情に厚く、正義を正すことに愚直までにこだわるロビショーだが、どこまでも彼を取り巻く運命は過酷。養女のアラフェアの可愛らしい存在に心和む。こんな風に面倒くさく、要領よく生きられない人間が、私は嫌いじゃない。派手さは無いけれど、心に滲み入る作品でした。2020/08/31
frog
3
再読。読み応えのある長い長い閉塞感。養子の存在/愛らしさが救いになっている。2010/01/19
schazzie
2
デイヴ・ロビショー、元ニューオーリンズ警察警部補。わけあって、今は貸しボート屋の主人。このロビショーシリーズは評価も高く、南部のミステリとして知りすぎるほど知っていたのだが、なぜか今までに1冊くらいしか読んでいなかった。ぶっちゃけ、個人的にはこの主人公のキャラはあまり好きではない。作者のバークの写真を見ると、悪いけどどうしてもカッコいい主人公が思い浮かばないし。確かに情景描写は素晴らしいのだけど、内容もだるかった。ブルースって感じでもなかったし。全て個人的好みの問題かもしれないけど。2012/09/02
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