角川文庫<br> 夢果つる街

角川文庫
夢果つる街

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  • サイズ 文庫判/ページ数 514p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784042450023
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

吹き溜まりの街、ザ・メイン。いろんな人間たちが破れた夢を抱えて生きている。ラポワント警部補は毎日パトロールを欠かさない。ここは彼の街であり、彼が街の“法律”なのだ。そしてラポワントにも潰えた夢があった…。それは奇妙な死体だった。胸を一突きされて、祈るような格好で路地にうずくまっていた。イタリア系らしい若い男だった。街を知りつくしたラポワントは、難なく最初の手がかりをつかんだ。だがやがて浮かびあがるのはまったく意外な犯人、そしてそこにも街の悲しい過去があるのだった―。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

146
イギリス系、フランス系、ギリシア系、イタリア系、中国系、人種入り乱れる貧しい街。わけアリの人々の吹き溜まり。そんな街で暮らす警察官が主人公。殺人が起こるが、被害者は誰も同情しないようなチンピラの一人。でも、疲れ切った登場人物たちがどれも魅力的なんだなぁ。昔気質の方法でごろつきとやり合う老警官と彼を尊敬しつつもやり方には反発する新人警官。ごろつきや売春婦たちも心まで腐ってるわけではなかった。2022/06/06

遥かなる想い

79
このミス海外 1988年第一位。「ザ・メイン」という街を描いた小説とでも言うべきなのだろうか? 各国からの移民が夢破れ、集まってくる街への想いのようなものが よくあらわれており、またラポワント警部補も存在感ある人物として 小説にめりはりを与えている。ただ・・やはり長い。終わりの方への盛り上がりまで行くつくまでに正直疲れてしまう。それにしても、街全体の怒りみたいなものが、巻末に 進むにつれて感じられる。2004/01/01

財布にジャック

55
ミステリーと言うよりは、哀愁漂う人間ドラマという印象が強いです。各国の移民たちの吹き溜まりの街ザ・メインを舞台に、ラポワント警部補を通して見る街やそこに生きる人々の姿が、なんとも切ないです。渋いハリウッド映画を観せられているような感覚で、読んでいる間中、私の頭の中ではこの街がカラーではなく、白黒若しくはセピア色に変換されていました。トレヴェニアン初読みですが、他の作品も是非読みたくなりました。2011/10/06

Small World

38
私にとっては、少々正体不明の作家トレヴェニアン。名作と言われる本書を、初トレヴェニアンとして手に取りましたが、面白い!というより、じわっと染みる感じの物語でした。後半は、無くしていくもの、無くなっていくものばかりが目に付いてしまい、残ったものも、いずれ無くなってしまう予感で終わってしまうのが寂しかったです。読み終わると、舞台となる街の名前である原題「ザ・メイン」を「夢果つる街」という邦題にした気持ちがわかります。(このミス1988海外編第1位作品)2018/12/14

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

30
「夢果つる街」とはモントリオールのザ・メインという街。マフィアさえ相手にしないという貧しく、フランス、イギリス、ギリシャ、ポルトガルなど様々な移民がまず住み着き、そこから出損なった人々が住む所である。警部補の52歳やもめのラポワントが主人公だが、本当の主人公はこの街という事だろう。殺人が起き捜査するラポワントから語られるこの街の不幸、犯罪、虐待。ラポワント自身も孤独の中で頑なに希望を失っている。年若い娼婦が転がり込んできて、そのあまりに儚い繋がりに心を寄せるのが痛々しく見える。重く細やかな作品。2021/02/08

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