角川文庫
七つの人形の恋物語 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 216p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784042404040
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

お金も仕事も失った孤独な少女ムーシュは、言葉を話す七つの人形と出会い、謎めいた一座の長キャプテン・コックと旅と舞台を共にすることに。人形という存在を通して二人の間に芽生える深く純粋な愛の物語を、ストーリーテラーとしての抜群の才能で描いた表題作に加え、著者の名声を国際的にゆるぎないものにした名作「スノーグース」を、矢川澄子による静謐で感受性豊かな名翻訳で贈る、ギャリコ・ファン必携の豪華版。

著者等紹介

ギャリコ,ポール[ギャリコ,ポール][Gallico,Paul]
1897‐1976。NY生まれ。コロンビア大学在学中に第一次大戦が始まり、海軍予備隊に参加。大学卒業後は新聞社でスポーツ記者として文筆の才能を発揮、人気記者としてキャリアを積む。39歳のときイギリスの南海岸の漁村に居を移し、創作活動に専心。1939年に長篇第一作『ハイラム・ホリディの大冒険』を発表、そして41年に刊行した『スノーグース』がベストセラーとなり、たちまち世界中で大きな反響を呼んだ。以後も創作のかたわら釣りやスポーツにふけりながら、76年に惜しくも世を去るまで、幾多の名作を世に送り出した

矢川澄子[ヤガワスミコ]
1930‐2002。東京生まれ。東京大学文学部中退。作家、詩人、翻訳家。ギャリコのほか、アナイス・ニンやルイス・キャロルなどを翻訳し、その可憐な文章には今なおファンが多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はる

63
ロマンティック。でも甘くはない。孤独な少女ムーシュは、言葉を話す七つの人形と出合い、座長のキャップテン・コックと共に人形劇の旅をすることに。純真で汚れを知らぬムーシュと、冷酷で乱暴なキャプテン。普段は辛く当たるが、人形という存在を通すと自分の本音を出せる男の屈折した愛。そんな男の哀しみを感じ取り、優しく癒すムーシュ。結局は彼女の魅力的に尽きる。ギャリコの卓越した想像力。でもラストはいかにも男性作家だなぁと。ムーシュと人形たちとのやりとりが微笑ましくて好き。2020/05/27

キムチ

59
ムーシュ・・やせっぽちで身体はボロボロ。パリの貧民窟から出てきたとなるとイメージは溢れる。中年の男と薄汚れた少女の夢物語と言えなくもない。だけど、どうだろう~湧き上がる物語の豊饒さ。挿絵が次々と現れる上に、人工的な美しさを持つ絵でないのが嬉しい。。ストリップ小屋での人形劇というからには子供向きじゃなく、大人の童話というべきだろうけれど、幾つになっても、その人の生きざまで夢を見られそう。ニンジンさん、ペンギン、かまととのジジ。。。少女は昼も夜も男に支配されるわけだからDV と言えなくもない。2019/02/19

よこたん

53
“だれ? いましゃべったのはだれ?” 思わず漏れ出す心の声に、一番驚いたのは誰?。個性あふれる七つの人形たちと、幸薄い娘ムーシュの交流。その陰には心荒んだ男の姿が。優しさ、素朴さ、狡さ、賢さ、さみしさ…様々な顔は本当は誰のもの? 悪だけの、善だけの人はいない。不器用で乱暴で、どうにもならない複雑な男心。愛を得たのち、これまで通りの人形芝居は成立するのだろうかと、要らぬ心配をしてしまう。河合隼雄先生の本で紹介されていたので読んでみた。やはり、人の心はわからないものだなあと思う。「スノーグース」もよかった。2020/05/03

yumiha

40
『猫語の教科書』のポール・ギャリコだから、と借りた本書だが、今さら恋物語なんて・・・となかなか手が出なかった。でも、読み始めて夢中になった。人形劇一座を去るムーシュに、7つの人形がお別れのプレゼントを渡すシーンは、文字がかすんで見えにくくなるほど、次々と涙が湧いてきて困った。病院の待合室だったのに💦コックの語る人形に宿らせた人格の話は、平野啓一郎の分人主義を思い出した。もう一作の『スノー・グース』も、ラヤダーをいつまでも見守るかのようなスノー・グースにウルウルしちまった。『猫語の教科書』より好きかも。2019/11/12

きょちょ

31
2作収録。「スノーグース」はガーディアン1,000冊に入っていた。この作品は、情景描写も好きだし人間愛も描かれていて良い作品と思うが、表題作はそれを凌駕する! 七つの人形を扱う人形師と不幸な生い立ちの娘との物語だが、人形師も娘に劣らない不幸な人生をたどっており、人間不信の塊で冷徹で残忍な面を持つ男。七つの人形はそれぞれの人格があり、人形師の意志を超えて動き語るが、それは実は人形師の内面や無意識からくるものであり、やっぱりすべてが人形師自身の人格なのだ。 人間一個人の奥深さを描いた名作! 感動! ★★★★★2017/10/03

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