内容説明
保険調査員として鬱々と日々を送っていたエリオット・ネスに、チャンスが訪れた。義兄の伝手で、司法省禁酒局の特別捜査官に採用されたのだ。折しも、アル・カポネがライバルを一掃した「聖ヴァレンタインデイの大虐殺」を受けて、FBIがカポネ逮捕に動き始めた矢先だった。改造ショットガンを片手にカポネに迫るネス。果たして攻防の行方は…?西洋歴史小説の雄が、暗黒街の帝王を活写した傑作ピカレスク。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県生まれ。山形大学卒業後、東北大学大学院で西洋史学を専攻。93年、『ジャガーになった男』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。99年『王妃の離婚』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shimaosa
12
カポネではなく禁酒法捜査官エリオット・ネスを中心に据えた話。正直カポネとは役者が違う。道化にしかみえないエリオットと自身もアウトローのようになっていく様、しかし最終的に「アンタッチャブルズ」として書籍や映画など作品の中で有名になるのは少し複雑な気分。2014/03/21
ヨクト
9
下巻はアル・カポネではなく、彼の好敵手であると言われる”アンタッチャブル”ことエリオット・ネスの物語。ネスの自尊心と自惚れが前面に出ていて、個性が面白いが、晩年のカポネの方が見ていたかった。カポネが何を思ったのか。彼が作り上げた世界は裏の帝国ではあるが、そこには平安と希望はあったのだと信じたい。2017/10/28
大岩
3
いかにしてエリオット・ネスは『アンタッチャブル』を書くに至ったのか、というのが巧みに描かれています。プライドが高く、派手好きで、徹頭徹尾カポネの脱税容疑での起訴には反対だったネス。ネスも移民であったとは知りませんでした。2014/01/14
彬
3
視点が変わってて面食らった。語り手はエリオット・ネスという青年だ。カポネと同じように野望を抱き、だというのに生来の甘えと自制心のなさがすべてを台無しにする典型的な駄目人間である。自分を過大評価する人間ほど煙たいものはない。だがその彼を通してカポネを見ると、なるほどさすがのカポネである、威風堂々として愛嬌があり輝いている。たった一人の人間に番狂わせを食らった二人の人生の節目。二つの破局に受ける印象が違うのはその人の行った人生の「価値」が違うからだ。語り手に苛々とするが、それは最後のページを読むまで我慢しよう2011/06/10
光
2
面白かった。カポネ像は何となく予想できたが、ネスはこんなにダメな人物に書かれていて興味深い。この小説ではネスは酒税法違反でカポネを逮捕するのに反対の立場に書かれているけれども、実際はどっちが正しいのか教えてほしい。2019/12/11