感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
168
多分まだ中学生ぐらいの頃、兄の持ってた文庫本を勝手に読んだ作品。戦場に送り込まれた「彼」がどのような状態で生還したのか、「彼」が究極の孤独の世界から如何にして他者と意志の疏通を図ったのか。憶えていたのはその部分だけだった。こんなに強く反戦のメッセージを伝える作品だったのか。ラストの「彼」の心の叫びは、まさに今の世界情勢に向けた物の様だ。戦争の主導者に是非読ませたい。今の若い人たちも、この本を読んでおくべきだ。平和に暮らせる事に、多少物価が高くても仕事に不満があっても、それでも絶対幸せを噛み締められるから。2025/05/13
ミッフー
104
何処の本屋にも置いてなく、Amazonで中古を購入👍何と昭和50年発行本、44年前やん💦ページは黄ばみ古本の匂いが、文字も今と比べ小さい😓現在禁句な身体差別用語も満載😫でも内容はとても深く重い❗️戦争により両手足、視覚、聴覚、臭覚、味覚、全てを失ったジョニー。生きる屍と化した彼が頭を枕にに叩きつけ、モールス信号にて意思を伝えようとするも…ラストの50ページは圧巻でした。意思を否定された時、彼はどんな思いだっただろう😢今、世界のリーダーと呼ばれる人達が言う「〇〇ファースト」に懸念覚えた読後です🤔2020/01/22
ペグ
79
1人の若者が徴兵され戻って来た時には一個の肉塊になっていた。機能しているのは脳(精神)のみ。それは生者であり死者でもあった。そんな彼に出来る事はあるのか?主義や思想、宗教を超えて今を生きる私達に突きつけられたジョニーの存在。トランボは幾多の素晴らしい映画の脚本を書いたけど、この小説一作でトランボになった。加川良さんの「教訓1」を読後聴く。2018/04/11
アナーキー靴下
62
戦場で目、鼻、口、耳、そして四肢までをも失ったジョニーが、一人ベッドで想念を巡らす物語。世界から断絶された彼の心には、家族や恋人との優しく温かくほろ苦い思い出と、戦争に巻き込んだものへの強い怒りが渦巻く。本作から強い反戦メッセージを感じるのは、戦争がもたらす惨たらしい傷痕は勿論のこと、戦争は命を奪うばかりか心まで殺す、という事実、すぐそこにある現実を、如実に示しているからだ。戦場では規則が心より優先され、心は押し殺されなければならない。豊かでいたいけな人間らしい心は、まどろみの中でしか許されないのだ。2024/08/10
『よ♪』
48
原題は Johnny Got His Gun 。これは Johnny Get Your Gun(ジョニー、銃を手に取れ!)という実際の志願兵募集のキャッチコピーを捩ったもの。文字通り、ジョニーは銃を手に取った。正義の為、国の為。そして──。栄光?勲章?平和?誰に?何処に?後には絶望と隠蔽。~ 君たちが民主主義のために世界の安寧をはかるためだというならば、その言葉を真面目に受け取り、神の力にすがって、そのために努力するだろう──ジョニーより愛を込めて ~ 言うまでもない。自らの手を汚さない者たちへの皮肉だ。2022/11/19