内容説明
ダーク家とペンハロウ家に伝わる由緒ある水差し。みんな喉から手が出るほど欲しがるこの家宝を相続するのは一体誰?老ベッキーおばがいまわの際に遺した突拍子もない遺言のせいで一族の面々は、かつてない大騒動を繰り広げることに。一族きっての美女ゲイの愛の行方は?長年秘密にされていたジョスリンの別居の真相は?やがて水差しの魔力は一同をとんでもない事件へと導くが…。モンゴメリ円熟期の傑作ロマンス。
著者等紹介
モンゴメリ,ルーシー・モード[モンゴメリ,ルーシーモード][Montgomery,Lucy Maud]
1874年カナダ、プリンス・エドワード島生まれ。幼少時に母を亡くし、祖父母の手で育てられる。大学で文学を学んだ後、教師に。祖父が亡くなり、祖母と2人の生活を続けながら、1908年に最初の長編小説『赤毛のアン』を出版。世界的ベストセラーとなる。祖母の死後、長く婚約していた牧師と結婚。オンタリオ州に移り住み、その地で数々の作品を執筆した。英国王立芸術院会員、フランス芸術院会員、大英帝国勲位。42年トロントにて逝去
谷口由美子[タニグチユミコ]
山梨県生まれ。アメリカ文学翻訳、研究者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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井戸端アンジェリか
16
たった1個の水差しを巡って、それぞれ60人に及ぶダーク家とペンハロウ家の組んず解れつワーワーギャーギャー。登場人物の名前を把握するだけの数日間を抜けると、なんとドラマチックで楽しいことか! ほぼ全員血が繋がっているので、悪口もイザコザも退屈しまくっている爺様婆様たちへの元気の源に思える。全て収まるところに収まったようで、めでたしめでたし。2021/10/18
きりぱい
8
由緒ある水差しの相続をめぐって、ダーク家とペンハロウ家に起こる騒動なのだけれど、ぞろぞろ出てくるキャラは一族ばかり。モンゴメリ自身名前をごっちゃにしていて訳者が直したのだとか。虚栄あり嫉妬あり、ロマンスは若者も中年も関係なく生まれ、それに口を出すシルバー世代と、親戚中のドラマも多彩。見かけに恋したり冷めたり、真の愛を見つける者たちはまあいいとして、男女間の温度差を、女が許さない男の振る舞いで鋭く描き出したドナの話が面白い。一番好きなのはマーガレットの話。ほんと「終わりよければ総てよし」という具合に収まる。2012/12/09
Mana
7
ミステリなら人死が大量に出るだろうけど、そういう話ではなかった。一族最年長のおばさんが死んだ後、家宝の水差しを誰が相続するかで一族の者たちが右往左往。登場人物がごちゃごちゃしてるけど、面白かった。最後の結末も満足。2020/07/14
Kotaro Nagai
6
最初登場人物の多さにちょっと戸惑いますが、我慢して読んでいくと、大団円にたどり着けます。2009/09/13
更紗姫
6
親戚の群れに囲まれて暮らすって、どんなカンジ?ルシンダ&ロムニーの永い春顛末記(『アンの友達』)を読んで以来、<ペンハロー一族の一員>って感覚に興味があった。幼い頃からの一部始終を全部知ってる親戚達、今さら上辺を取り繕ったり気取っても仕方ないから素の自分でいるしかなく、案外居心地いいのかも?とびきりの善人も、極悪人(ブライアンのダンカンおじは意地悪だけど)も出てこない。妙なクセや欠点もある<人間臭い>登場人物が織りなす蜘蛛の巣に絡め捕られた、楽しいひと時。モンゴメリの描く中年世代のロマンスが好きです。 2014/04/19