角川文庫<br> 幻の馬車

角川文庫
幻の馬車

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 163p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784042172031
  • NDC分類 949.83
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

167
善意は人を救うか。救世軍のエーディットは前の大晦日に酔っ払いを助け、ボロボロの衣を繕ってやった所、彼は衣を引き裂き祈りなど虚しいと言い放った。堕落したこの男に惹かれるエーディットは、今日の大晦日、瀕死の床にあって彼を回心させようと最後の力を振り絞る。が、自分の勝手な善意から男がその妻を憎み、妻を絶望に追いやったという残酷な事実を突きつけられて苦しむ。罪びとを愛するエーディットは聖女だろうか。結末は感動的だが、それは『神よ、わが魂をして、刈り取らるる前に熟さしめたまえ!』という言葉と共に受け取るべきだろう。2020/12/31

新地学@児童書病発動中

100
スウェーデンのノーベル賞作家ラーゲルレーフの作品。大晦日に生の世界と死の世界が交錯する幻想文学で、ぶっきらぼうな死神が登場するところが面白い。強固な現実の世界にすうっと幻想の世界が忍び寄ってくる描写がうまい。目に見えない世界の気配を読者に感じさせてくれる。救いようのない男が土壇場で改心するプロットは感動的。ダメな男の中にもひとかけらの可能性が残っていることは、読み手の胸を温めてくれると思う。2014/02/12

jozo

2
死神の従者とろくでなし男が死と生の境界を歩く。善悪の観念は今日読むにはあまりに素直なものだが、その幻想と現実のカクテルのような物語は独特な美しさを湛えていて、単なる夢みがちというには終われない。さすがノーベル賞作家というところ。2024/04/10

やちよ

2
年末の図書館でなんとなく手に取ってみたら、ちょうど大晦日の夜が舞台の小説でびっくり。 不思議なシンパシーを持って物語に没入できました。 死にまつわる暗い感じのお話と思いきや、登場人物の優しさが眩しい感動作。 年越し前のいいタイミングで読めたことが嬉しいです。2011/12/31

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/149549
  • ご注意事項