角川文庫<br> 真珠

角川文庫
真珠

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  • サイズ 文庫判/ページ数 102p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784042157083
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こばまり

46
小さき者、持たざる者に束の間の夢を見せた後になぎ倒す。だからスタインベックは嫌なんだと言いたい。心がざらざらする。人の感情の移ろいと自然描写が繊細。◼︎ジョン・スタインベックを読む(2/1~28)イベントに参加して。2017/02/14

gogo

12
ジョン・スタインベックの中篇。ネイティブ・アメリカンで貧しい漁民のキーノはある日、素潜り漁の際に、巨大な真珠を見つける。彼はそれを売って、子どもに教育を受けさせ、貧困から抜け出すことを夢見る。しかし、周囲や商人の意見の真偽を見極められないため、真珠を売れず、強盗団に追われる身となる。そして悲劇が襲う。現代でも、宝くじや株が当たって、新興成金となる人がいる。しかし、幸せになった話よりも、不幸な運命を辿った話を多く聞く。その意味で、時代と場所を超えて、財産と幸せの関係について考えさせられた良書だ。(原著)2016/10/04

桜もち 太郎

7
「ここには、ただ、善きものと悪しきものとが、黒きものと白きものとが、善良なるものと邪悪なるものとがあるだけで、その中間的なものはどこにもない」。一つの大きな真珠をめぐり、社会と家族が闘う物語。真珠を見つけてからの夫婦の心が、時には揺らぎ、そして本能のままに力強く変革していく所がとても良かった。とにかくすごい筆力だった。2014/10/11

雨に唄えば

6
ネイティブの差別的な暮らしぶりから始まる物語は短い内容ながらも、思った以上にしっかりと作り込まれている。大きな真珠の発見に目の色を変えるキーノたち、それを狙う追手たちとの闘いは迫力と緊迫感が活字からも如実に感じられた。その物語は悲劇をもって結末を迎える。なくなって初めてその大切さを知るとはよく言うが、主人公たち家族の思いもそこにある。キーノが最期にそのことを気づくことができたことは著者のせめてもの優しさだったのかもしれませんね。2017/02/16

左手爆弾

5
富の象徴としての真珠と、力の象徴としての短剣とライフル、男が憧れるそのものがまさに自分たちを滅ぼすものになる、というお話。勧善懲悪にも見えるが、そう単純でもないだろう。悲劇の根源の1つは「無知」である。文字も読めない、価値もわからない、相手がどこまで騙してどこまで本気かわからない。だからこそ、息子が学校に行き、文字を読むことに期待をかける。だからたった一度の機会、与えられた富と力に縋ろうと必死になる。彼らは自分たちが無知であることを知っている。知というのがいかに生を分けるかが現れているのでは。2014/03/29

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