内容説明
オー・ヘンリーほど庶民の哀歓を多彩に描いた作家は少ない。大都会でけんめいに生きる貧しい人々、なぜか憎めない悪漢や詐欺師など、彼の人生の中に見出したさまざまな人生模様を卓抜な手法でくりひろげる。「アメリカのモーパッサン」とまでいわれる彼の三百篇余の短篇の中から、「二十年後」「献立表の春」等、広く愛読されてきた定評ある作品を選んで収録。12篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
33
「献立表の春」は、オー・ヘンリーの短篇の中で一番好きな話。甘すぎるぐらいのラブロマンスだが、ニューヨークで働く孤独な女性と素朴なタンポポが持つやさしい春の雰囲気がいい。「パンのあだしごと」は、なんとも切ない話。原題の「Witches' Loaves」をそのまま「魔女のパン」と訳している本もあるが、内容からして、だんぜんこっちの題がいいと思う。初読だった「水車のある教会」、すごくすてきな話だった。それにしても、このシリーズの表紙、都会的な雰囲気を出したつもりかもしれないが、あんまりじゃないかと思うのだが。2015/09/19
ももたろう
24
オチが見事。二十年後に会う約束をしたジミーとボブ。そんな漠然とした約束が、果たされるか否か。そこに意識を持っていかれたので、オチに意表を突かれた。面白い作品だった。2017/08/21