内容説明
グリニッチ・ヴィレッジに住む貧しい画家ジョンシー。彼女は肺病にかかり、窓辺から見える残り少い蔦の葉を数えていた。散り終った時に、自分の命が尽きると…(「最後の一葉」)。わが国でも、もっとも愛されていたこの一篇をはじめ、「警官と讃美歌」「賢者の贈りもの」など16篇。短篇の名手オー・ヘンリーが庶民の姿を独特のユーモアとペーソスで描く傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
47
【O・ヘンリー誕生日読書会‘25】毎年恒例の読書会、角川文庫の平成元年初版の本を読みました。30年超前、いささか訳が古い、「緑の扉」に「いのんど」の実で風味付けした〜、何これ?ディルのことらしいです。今は洒落たサラダに入ってますね。今までО・ヘンリーに満足していましたがこの編集だと作品の出来不出来の波に気づかされます。同じアイデアのものは離してくれると楽しめるかな。日露戦争の話題が2作品で取り上げられていて、それなりに日常の話題になっていたのかと感慨深いものがありました(鴨緑江会戦、ご存知ですか?)。2025/09/23
マリリン
35
「最後の一葉」を再読したくて読んだ。脳裏に残っていた情景が懐かしい。16の短編の中で特に面白かったのは、惚れ薬を調合した恋敵の思惑に反し飲ませる相手を直前に変更した為、結ばれた二人の話「アイキィ・シェインスタインの惚れ薬」・オチが幸せなら...と微笑ましい「賢者の贈り物」・当たり前に思っていた日常の幸せをある出来事により気付く事ができた「振子」、「第99隊の外交方針」には日本も登場。殆ど十数ページの作品だが、社会風刺的なものも感じ面白い。知らなかった著者の経歴も知る事ができた。2020/02/20
NAO
33
オー・ヘンリーの短篇は大好きで、高校の頃から何度も読んでいる。この傑作選の中で好きなのは、『賢者の贈りもの』『忙しい株式仲買人の恋物語』『アイキイ・シェインスタインの惚れ薬』『最後の一葉』。心温まるハッピ-エンド、ペーソスに溢れた含みのある終わり方、何とも言えないシビアな結末。オー・ヘンリーが描く庶民たちの日常は多彩で、微笑ましくもあり、もの悲しくもある。それにしても、この時代の男たちは、本当に自分が結婚したことを忘れてしまうぐらい忙しかったんだろうか。2015/09/11
やまはるか
26
クリスマスプレゼントに妻は長い髪を売って時計の鎖を買い、夫は時計を売ってべっ甲の櫛を、互いに交換する話はオー・ヘンリーを知らなくても知っていた。非常に短い話ばかりで、最後の数行に種明かしやどんでん返しが仕込まれている。「それやこれやの償いを申し上げたくかねてより思っておりました。少佐はそれを拒絶なさいましたが、曲がりなりにもそれをかなえさせていただきました。」「追伸 モース爺さんの演技はいかがでしたでしょうか?」誇り高い老少佐に一芝居を打って金を渡す「ハーグレイヴズの二役」が人間味溢れて印象深かった。2025/05/28
マカロニ マカロン
19
個人の感想です:B+。短編小説家はサキが最も好きだが、O・ヘンリーも同じ位好きだ。サキはややブラックなシニカルな結末が多いが、O・ヘンリーはほっこりする結末が用意されているものが多い。ただ、表題が既にネタバレになっていて、読んでいる途中でオチが見え透いてしまう場合がある(「ハーグレイヴズの二役」など)。この本には16話が収載されていて、大体読んだ話だったが、初読みの中では『美服のあだ』、『一文おしみの恋人』が良かった。『第99隊の外交方針』は日露戦争への当時の米国の関心ぶりが表されていて興味深かった。2020/04/22
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