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内容説明
詩人であり劇作家、またある時は映画監督。本書は、虚と真実を自由に横断したマルチ・タレント、ジャン・コクトーが、愛弟子ラディゲの死による孤独のため陥った阿片中毒の解毒治療中に綴ったデッサンとノートによる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
102
かなり苦戦して読みました。阿片中毒を治療するために入院したコクトーが綴る散文とデッサン。内的体験というか、もっと混乱した内容かと思えば決してそんなことはなく、寧ろ理知的で詩的センスを持ち得ない私には正直あまり理解できなかったです。コクトーに限らず、詩人の書く文章って難解な気がします。恐らく本書は原文で読んだ方が楽しめるのかなと感じました。そしてデッサン。シンプルなドローイングだけど見ていると鑑賞者に不気味さ、不安感を与えるよう作品でなかなか興味深い。何処と無く作風がジョルジョ・デ・キリコのように感じました2016/06/06
双海(ふたみ)
21
帰省したら本をたくさん売るつもりですが、さすがにコクトーは売れない。後々きっと後悔するから。2014/08/02
田氏
17
初版昭和27年、原本は昭和7年刊行の堀口大學訳。と聞いて、ほう、と言えるほど文学を知っているわけではないのだが、どこか当時の空気の香りがするような翻訳であったように思う。阿片中毒の「解毒」治療にある身体から吐き出される、あるいは垂れ流される文章は、分析や思索に満ち、一方でまたある面では陶酔や憂鬱、そして(嫌な語を用いるなら)自己弁護に満ちている。それに対し、異なる言語と文化の力場から、否定や嫌悪でなくある種の共鳴をもって対面する姿を、文体の向こうに認めたくなるのだ。その姿が纏う空気は90年前の香りがする。2023/04/14
みみみんみみすてぃ
9
全ては読んでいないのだが、この病気の治療中に書かれた散文、アフォーダンスや批評、散文が素晴らしい。絵もいい。こういう作品をつくりたい。ックトー、ありがとう。大切にしたい一冊です(最後まで必ず読みます)2016/04/23
尖兵
7
コクトーによる阿片の治療日記。治療中のコクトーが描いたスケッチや日記から、彼の苦しみが伝わってくる。時にエスプリのきいた鋭さで人をなじるも、自分は阿片で頭がおかしくなっているけどね、と笑ってみせるものだから、激しさに惹かれてしまった。2014/07/18