角川文庫<br> 狭き門

角川文庫
狭き門

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  • サイズ 文庫判
  • 商品コード 9784042001058
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スミス市松

14
己れの愛を通じて相手の幸福を求めるジェロームと、神への信仰を通じて相手の幸福を求めるアリサ。愛しすぎるゆえの疑懼と辛苦、そして誤り違えた求道性が彼らを引き離してしまう。だが本書は何よりも、大切な人の幸福を願うことについての小説であり、その二人の精神の気高さが胸を打つのである。物語において、彼らが邂逅するほんのわずかな瞬間にだけ俄かに光り輝く描写が心に映る。あらゆるものに青空の色が滲みわたる元気のよい夏の日、ゆらめく残照で野原をひたし谷を赤く染めあげる夕陽。そこにジイド自身の哀惜と慈しみを見出すのだった。2018/03/21

星野

3
実は非常に難しい問題だなと思う。始めは二人のすれ違いっぷりを面白く読んでいたが、アリサの日記で予期せぬ難しい暗がりの穴へ落ち込んでしまったような感じ。アリサの到達したいある信仰は確かに特定の誰かにのみ注がれるものでは歪みが出てしまうし、それを許せない域を所有してしまっていたんだろうなぁ。難しいな、信仰も幸福も徳も愛も。“「あなたのそばにいると、こんな幸福なことがあるかと思われるほど幸福なの・・でも、わたしたちは幸福のために生まれてきたのではないでしょう」”2010/05/24

ちゆ

2
学生時代に新潮社版を読み、非常に感銘を受けた一冊。 最近読んだ記事で角川版を読みたくなったが残念ながらすでに絶版、やっと発見。で、読んだ。 確かに古い訳だから、馴染めない言葉遣いはあった。あと台詞の冒頭なぜ一時空け? とかね。 しかしそんなのが気にならないくらい読みやすかった。巻末の解説も読み、訳者が確固たる信念のもとに訳したことが感じられ、だからこそ分かりやすかったのだと思う。改めてよい作品だと感じることができた。良い訳だったと思う。他の訳でも読みたくなった。 幸福…その言葉を考えてしまう一冊です2018/03/11

アカシア

2
深い信仰にかかわる作品に対して私はいつもまず身構える。どんなに詭弁を並べてみても、イエスという絶対一者に帰す生が理解できないからだ。狭き門が特別だったわけではない。けれどアリサの、信仰は、神は、 どうも言葉に詰まる。ぶな並木の木陰のベンチでアリサはいつも彼を待つ、深い愛と神への忠誠の間で’あいまいな’自らを責め続ける。聖女・・なのだろうか、聖女とは誰だろうか、キリスト教に限らず、神と人はこんなに隔たっているのか。心に残る一作。 淀野氏の訳は他と読み比べて迷わずえらんだ2009/12/12

isuzu

0
再読2022/04/24

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