内容説明
「でっちあげられた評判の嘘をあばいていこう」テレビ局のキャンペーンCMのみっともなさ、秋葉原への不可解な幻想、ファミリーレストランの「とほほ」、乱立するクイズバラエティの中身の無さ…。冴え渡るメディア批評に加えて、激レアな映画批評も収録。『エルム街の悪夢』『ダイ・ハード2』から『男はつらいよ』まで。人類史上至高の消しゴム版画家による、幻の批評コラム集。
目次
でたとこ映画(ファンシイダンス;ミステリー・トレイン;ミクロキッズ;どついたるねん;ジャッカー ほか)
メディアジャンキー(『TVブックメーカー』;秋葉原幻想;百恵神話;衛星放送;通信販売 ほか)
著者等紹介
ナンシー関[ナンシーセキ]
1962年青森県生まれ。消しゴム版画家。2002年6月12日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
14
前半は映画評。ナンシーに映画を語らせる無謀を敢えて試みた編集に乾杯。なんせ映画に関しては、最後に劇場で観たのが「マトリクス」(初編です)の僕と選ぶところ無きほどの映画オンチであるナンシーだ。マトモな評など出てくるワケがない。終始関係ないヨタ話で原稿紙を埋める作業は果たして苦であったか楽であったか。後半は安定のテレビ評。ひとつ異議申し立てる。ウンナンとダウンタウンのお笑い力は1対10とするナンシーには首肯し難い。一言で「天然」と言われる力を度外視していないか。コンビ二人が揃って天然、がウンナンの奇跡だぜ。2019/12/25
Sato
9
図書館立ち読みそのまま借りる。 ユーモア溢れるとんがった文体。自分をゆるそうに語るが対象には言いえて妙といった趣き。なんか樹木希林さんを思い出した。あんまり知らないけど。2018/11/06
cithara
7
ナンシーさんが映画評をやっていたことに驚く。私の期待通りの書きっぷりで安心した。もちろん熱く語ることはなくて「私がこんなことを書いて良いのか」という含羞がかすかに感じられる。しかしそれが過ぎてナンシーさん独特の皮肉が時おり飛び出す、といった具合。『ホーム・アローン』の主役の男の子の現在の姿を見たら彼女はどう思うだろうか? 『ツイン・ピークス』ではアメリカ人のこと思い切りバカにしてないか? 『マッチ工場の少女』未鑑賞のままです。時々剃刀のように切れ味鋭くなるナンシーさんに当時クレームは来なかったのか?2018/10/31
tencoz
3
過去に読んだことがあるような、無いような…もう随分前に読み漁ったから記憶も曖昧。でも面白かった。ナンシーさんぽい文章は昨今では珍しくなくなったが、彼女が間違いなくパイオニアである。映画評なのに映画に関係ない話しちゃうとか、自分にツッコミ入れるとか。かつてのテキストサイトブームの時に溢れかえった文体ではあるが、やはり切れ味がダンチですね。たまに緩い気持ちで読むと面白い。こんな感性身につけたいです。2021/05/16
hirayama46
3
はじめてのナンシー関。最初に読むのが未収録稿集というのもいかがなものか……と思いましたが、なかなか楽しめました。映画評は不慣れっぽい印象は受けました。当時のテレビのあれこれを読むと、いまは遠い90年代文化について思いを馳せてしまいますね。「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」って92年にはもうやっていたのですね。長いな……。山口百恵神話を終わらせるには復帰させて失敗するしかない、とありましたが、そんなことをせずとも20年以上の月日は自然に神話を鎮静させました。時の流れは残酷だ。2020/12/15