出版社内容情報
塚本 善隆[ツカモト ゼンリュウ]
著・文・その他
梅原 猛[ウメハラ タケシ]
著・文・その他
内容説明
浄土教思想は、生と死の不安・絶望の中から、ひたすら極楽浄土を欣求する。法然・親鸞・一遍に代表される日本の浄土思想は、中国浄土教を源とする。そのユートピア思想は、中国で、どのように生まれたのか。日本人に最も深い影響を与えた浄土思想の発展をあとづけながら、浄土思想のもつ深遠な人間存在への凝視と豊かな想像力について考察する。
目次
第1部 浄土教の誕生と大成(インドから中国へ;伝来複数仏教の中国的受容;インド浄土教の成立;浄土信仰の東伝;中国浄土教の始祖慧遠;長生術を求めた曇鸞の回心;浄土教の提唱者・道綽;善導浄土教の大成)
第2部 ユートピアの思想(塚本善隆;梅原猛)
第3部 仏教のニヒリズムとロマンティシズム(鳩摩羅什;曇鸞;道綽、善導)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
20
ついにここまで手をのばしてしまったよ、という後悔もあるのだけど、親鸞さんの源流である中国浄土教についての本、意外に面白く読めた。日本と同じように中国でも社会混乱期に仏教が受容されたらしい(3世紀あたり)。日本の仏教人が、法然なら浄土系のお経、日蓮なら法華経と、お経を選択したのと違って、中国ではお経を「総合的に受容した」というあたりが興味深い。あと、この本でも梅原さん執筆部分はとても面白くて、仏教経典の大翻訳家・鳩摩羅什クマラジュウについて”お色気大作戦に負けたイカガワシイ存在”だと指摘するあたりステキだ。2016/07/14
roughfractus02
6
『浄土系思想論』で鈴木大拙は、『無量寿経』の口称念仏と禅の坐禅を同じ「正覚」に至るやり方の違いと捉えた。大乗から分岐した浄土系と禅は、中国の仏教の大衆化傾向にあって、風土と大衆に合わせて悟りへの接近の仕方を多様化させる中で生まれた。黙して念じる念仏、仏を観ずる観仏は、声を出し絵画を見る形になり、加えてシュメールの遊牧民族経由とされる西方浄土のビジョンが祈りの対象となる。原始仏教と異なるが悟りにおいて同じというこの仏教を、本書は鳩摩羅什→僧肇→慧遠→曇鸞→道綽→善導を経て、法然→親鸞の人物伝的構成で物語る。2021/05/01
KN
2
浄土思想のルーツが大月氏国にあるというのが興味深い。大月氏はギリシアやペルシアの文化が流入していたことで知られる。親鸞の思想からキリスト教的な匂いを感じる人は多いと思うが、そもそもからして浄土思想は、キリスト教の元にもなった西方宗教の影響下に生まれていたわけだ。2018/12/06
非実在の構想
0
慧遠、曇鸞、道綽、善導の思想の差異とその時代背景が分かり易く解説されている。梅原さんによる祖師たちの生涯の解説はたぶんに推測が含まれて物語的であるものの(物語的であるからか)魅力的であった。2014/09/27
home alone
0
大乗仏教は万人を救う事を旨としているが、大乗仏教の中観や唯識などは凡人には難しく実践するのも難しい。そこで生まれたのが凡人でも念仏を唱えれば浄土にいけるという浄土経である。竜樹や世親、釈迦が凡人でも浄土に行けるというのを言ったという事を半ばこじつけ気味に寄せ集めて浄土に行ける証拠としてる。最初はえおんという僧が一人でそう思っていて、大衆向けではなかったが、そのうち親鸞等につながる純浄土宗というのが出来てくる。これが大衆向けで禅と共にその後の流行になる2012/08/18
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