内容説明
大学を卒業し、就職はしたものの、“本を読む時間がない”という理由から三日目退職を繰り返す目黒考二。たわいもない話を延々と続ける不思議なイラスト描き・沢野ひとし。そして、若き編集長で激務の最中でも本を手離さない椎名誠。70年代初め、彼らは新宿に定期的に集い、彼らの理想とする幻の新雑誌を肴に、夜を徹して飲み明かしていた。そして七六年四月、彼らの夢であった『本の雑誌』は創刊された。いわば贅沢な遊びだった…。始めたのは良いけれど書籍流通のイロハも知らない彼らが、如何にして今日に至ったのか。多くの仲間とともに奮闘を続けた、本を愛する人間たちの物語。
目次
「本の雑誌」創刊のころ
配本部隊が出来るまで
初期3大事件の真実
千脇隆夫からの手紙
苅部庸二郎登場す
椎名誠との大喧嘩
ハンバーガーを2個よこせ
本屋がぼくの教室だった
地獄の助っ人大募集
首都圏ドーナツ配本論
そして、いくつかの恋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あいこ
13
「本の雑誌」初期の、配本についてのあれこれが書かれたもの。配本に、これほどまでにドラマがあるとは。そして、目黒さんは本当に本が好きなのだなぁとしみじみ伝わりました。2016/04/02
Hitoshi Hirata
2
「起業」「起業家」と聞いてまず頭に浮かぶのは、椎名誠氏と本書の著者目黒考二氏による「本の雑誌」の創刊だったりする。 これはとにもかくにもお二方によるエッセイの力が大きいのだけど、ホントにおもしろいんですよ。 本書は目黒氏と大学生助っ人部隊による書店への配本の思い出話ががメイン。 当時大学生で東京にいたらやりたかったなあ。2017/10/11
東森久利斗
1
本屋上等。汗、排気ガス、本屋、居酒屋、ビール、熱気と臭気の波状攻撃、まとわりつく臭いが活字中毒者の病んだ心を刺激、心地よい不快感。配本部隊”助っ人”で、本屋巡りしてみたかった。まさに私塾、助っ人学生への想いや期待に共感。デリバリー、納期、集金、ロイヤルカスタマー、手抜きされがちな裏方業務を表舞台に引き上げたのが成功の秘訣、会社存続、経営の基本。自己啓発なサクセスストーリー。2024/06/22
turutaka
1
目黒さんの青春を『本の雑誌』創刊の前後を軸に語る。この人の本を探す、買うシーンの描写が大好きで、読むたびに翌日は古本屋屋をブラブラする。そんなトリガーになる。本書はそれに加えて本の雑誌配本部隊のマネジメントについても描かれている。否応なしに学生バイトたちのマネジメントをすることとなって、四苦八苦するところは新人管理者の研修教材としても最適。バイトカップルの結婚式で思わず泣いてしまうシーンは白眉。すごく良い本です。2018/09/08
リードシクティス
1
『本の雑誌血風録』は椎名誠氏の目から見た雑誌「本の雑誌」の草創期を描いた本だが、こちらはそのお仲間の目黒考二氏サイドから見たドキュメンタリー。『血風録』が雑誌草創期のエピソードをまんべんなく、面白おかしく書いているのに対して、こちらは本の雑誌の書店直販時代の配本部隊についての話に的を絞り、淡々と書いている。面白かったのは『血風録』だけど、読んでて「本の雑誌」への思い入れがより強く伝わってきたのは『風雲録』かな。普段は冷静そうなイメージの目黒氏だけど、配本部隊の学生たちを見守る父親のような目がいいです。2004/10/14