内容説明
15歳で初めて読書に目覚め、以来、人生の大半を本に費してきた目黒考二。真性活字中毒者である彼は、読書家必読の『本の雑誌』発行人を務める傍ら、北上次郎として文芸評論をこなし、さらに年間1000冊読破を目指す達人中の達人である。本書は、その膨大な読書体験をもとに見つけた様々な喜び、怒り、哀しみ他、作品論、作家論に至るまで読書に関するあらゆる情報を満載した、前代未聞の読書生活ノート。
目次
もう社員旅行なんか行きたくない
島田一男『魔道九妖星』を探せ!
読書計画は修正こそが愉しい
全集の端本探しに右往左往
「玉井喜作伝」よ、早く出てこい!
「三ヵ月本棚」の哀しみ
古本屋歩きの日々
競馬本を読んで秋競馬の開幕を待つファンの弁
角川文庫リバイバル・コレクションについて
初老小説を読みたい〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばりぼー
44
「毎月購入する本は文庫を除いて約120冊。一ヶ月に読めるのはどう頑張ってもせいぜい50~60冊なので、まず買ってきた本を選別して、机上の『すぐ読む本棚(一ヶ月本棚)』へ。次々に新刊が入ってくるから、すぐ読もうと思ったけど読めなかった本は椅子の横の『四段本棚(三ヶ月本棚)』に移動。このスペースにも限りがあるので、未練の残らない本からジャンル棚あるいは作家棚に左遷されていく。」この棚の使い方はさっそく取り入れました。しかし、私が購入できるのは月5~10冊程度、そのスケールの違いは歴然!恐れ入りました。2017/07/04
akira
24
久しぶりの目黒さんの読書エッセイ。 読書、古本屋通い、など先輩の本読みさんとして目黒さんの話はとてもおもしろい。今回はほぼ本のことで、ちょこっと椎名さん界隈の話もあった。総じておもしろい。 ふと納得する一節。本の興味というのは、基本的にはその人自身のルーツや考え方、経験などから構成されている。その興味が湧くまで過程は基本的には他の人には共有できない。他の趣味同様、故人の収集物が家族にとって価値を感じられないのは仕方ないことだなと。この言葉は納得。 「蔵書一代」2021/11/10
旗本多忙
23
読書好きは、全てがたった一冊の本から始まるというのが面白い。本が全てを案内してくれる。一冊の本に引きずられるようにして、次の本に、また別の本に、書物が囁き掛ける声を追って手を伸ばしていくだけだ・・・。読書が面白いのは、同じ本でも隣の人には恐らく違う事を囁いていることだろう。私に聞こえてくる囁きは私だけのものだ。だから本が特別のなにかなのである・・・「活字三昧」より引用。本が囁いてくれる、私だけに。だから同じ本でもそれぞれに違う世界を見せてくれるんだ。やはり読書っていいですよね。2021/11/04
ばりぼー
22
友人たち(椎名・沢野・木村)のモメ事の中心が食べ物やその支払いについてであることに私の胸は痛む。彼らは中学高校時代からの友人で、若き日に克美荘で生活を共にした仲でもあり、さらに東日本何でもケトばす会の仲間である。この東ケト会は、全国の島をめぐってただ酒盛りをして帰ってくるだけ。島でのキャンプ生活では私有物がなくなり、他人のものも自分のものも区別がつかなくなる。彼らがいつも瑣末的なことでモメているのは私有財産のないキャンプ生活を今でもどこかでひきずっているからである。昔の仲間だから遠慮がないのではない。2021/02/20
やまゆ
11
最後のお父様の話には驚かされました。目黒さんの本好き本能は受け継がれたものだったんですね。本に携わる仕事をしているにもかかわらず、どうにもできないもどかしさがよくわかります。子どもは親を越えられないという思いが、ちょっと誇らしく感じる感覚です。2017/09/29