内容説明
タムからカレミョウへの山間の道、それを「白骨街道」と呼ぶ。何故こんな所で、兵士たちは死なねばならなかったのか。インパール惨敗の原因は、ひとえに一司令官の補給を無視した無謀な計画と作戦強行にあると言い切れるだろうか。個人的な野心、異常な執着、牢固とした精神主義。しかし、本当の意味で自らの組織の責任を問うことのなかった軍部は…今もなお日本的組織と日本人の在り方が問われている。
目次
1 無謀の始まり
2 作戦推進
3 連合国の戦法
4 糧なく弾なく
5 無責任がもたらしたもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
100
“インパール作戦”は、一軍団司令官の無謀な作戦実行によって多大な損害を蒙る陸軍。作戦計画の段階から実施不可能とされ、必ず失敗すると判断しながらも軍令部は止めることができなかった。何処に原因があったのだろうか?あくまで私見だが、当時の陸軍の極端なまでに偏重したエリート主義であったと分析する。士官学校の席次順に出世コースが決まり、後はそのレールに乗っていくだけ、完全なる年功序列の繰り送りな人事。たとえ何らかの過失があっても温厚な処分で済ませてしまう温情主義。2016/05/15
nnpusnsn1945
49
陸軍中央の補給なき作戦は、成功見込みのないまま推し進められ、大失敗した。現場にいた将兵は病死、餓死で力尽きていった。対して英軍は、補給計画を緻密に練って作戦を遂行した。元になった番組から年月が随分経つが、インパール作戦について簡潔に知りたい場合は本書がおすすめである。番組はこちらから閲覧できます。https://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/bangumi/movie.cgi?das_id=D0001200005_00000&seg_number=0012022/06/09
mj
17
再読。本書は特定の国の特定の視座を集中的に、分かりやすく提供している。編者の面目躍如たる分野。その意味においては「良書」なので蛇足になるが、インドの視点も必要かと。本作戦は、インド独立戦争の一部としても捉えられ、徒に無駄な側面のみを取り上げるのも編集のいち手法かと。人間がすることに、100%⭕⭕、絶対に❌❌というものはそうそうないように思う。たしかに犠牲の大きい作戦だったが、このような外国勢力による一方的な断定は少しもありがたくない。日本人自らの手で総括しておくべきだった。2018/03/05
CTC
13
第4巻はインパール作戦を題材に陸軍の醜状を。「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」では、独伊による英の屈服が1つの柱になっていたが、43年9月には逆に伊が脱落。インドに直接手をかける事は政略的意味があったし、戦局一挙打開の方策としては賭ける価値があったか。しかし補給の困難さは当該の15軍だけでなく方面軍・南方軍・大本営其々理解しており、故に42年からプランが放置されていた訳だ。15軍の増強(特に兵站)は希望の20%も叶えられず。南方軍参謀の述懐、「(大本営は)できるとは思ってなかったでしょうなあ」。。2016/07/06
たまうさ
10
昔テレビ放送された時に見て何とも虚しくなったが、今年も8月に戦争関連のドキュメントを見て、インパールで戦われた方々がまだ生きておられて証言をされているのを見ると、読まずにはいられなくなる本だ。2017/08/25
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