出版社内容情報
解き放たれる、私の肉体空港で、更衣室で、金木犀の茂みの中で。性の歓びが光る波となって、私を陶酔の海へと導いてゆく……未知の扉の向こうに、新しい自分を発見する13の物語。直木賞作家の新境地となる、傑作官能小説集。
坂東 眞砂子[バンドウ マサコ]
著・文・その他
角川書店装丁室[カドカワショテンソウテイシツ]
著・文・その他
内容説明
日常世界の中でふと垣間見てしまった性の秘密に戸惑いながら、大人への階段を昇ってゆく少女の姿を描いた「世界の真ん中」。村祭りで出会った見知らぬ年上女性に誘惑され、熱く夢のような一夜を迎える少年の心情に迫った「ホップ・ステップ」etc。空港で、更衣室で、金木犀の茂みの中で、性の悦びが光る波となって、私を陶酔の海へと導いてゆく…。未知の扉の向こうに、新しい自分を発見する13の物語を収めた傑作官能小説集。
著者等紹介
坂東眞砂子[バンドウマサコ]
高知県生まれ。奈良女子大学住居学科卒業後、イタリアで建築とデザインを学ぶ。82年、第七回毎日童話新人賞、96年『桜雨』で第三回島清恋愛文学賞、97年『山妣』で第一一六回直木賞受賞。現在、タヒチ在住
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
335
何に、あるいはどのようなシチュエーションにエロティシズムを感じるかは、きわめて個的なフェティッシュだ。ここには坂東眞砂子さんの13篇の性的妄想が開陳されている。これらに共通する特質は、冒頭に置かれた「世界の真ん中」だけではなく、すべての掌編が女性によるオナニズムが基軸になっていることだ。したがって、その相手は列車の中での行きずりの男であってもかまわないことになる。私の目からは、それらの物語は何だか即物的なようにさえ見える。つまり、オナニズムとして自立しているがゆえに、男女相互の情愛が欠落しているのである。2019/01/30
ひかはる
26
ものすごく時間を空けて読了。 自分の価値観とはかなり合わない話も多かったです。 こんな世界も誰かの中にあるのかなって思いながら読んでいました。2020/11/26
loanmeadime
19
坂東眞砂子さんの本は瓜子姫の艶文、死国に続いて三冊目です。前二作に比べてストレートな官能小説、という印象ですが、女性目線のまとわりつくようなエロスは一種恐ろしさも感じます。カバーのモデルにびっくりしました。コルトレーンについて言いたいことがありますが、やめときましょう。2022/02/11
tama
11
図書館本 坂東シリーズ&予約本到着までのつなぎとして。短編セックス噺集。各話単独。ううーん、若干の「ドキリ」はあったけど「どうなっていくんだろう!?」は起こらない。全体に共通してそうなのは「女がアレ好きで何が悪い」というところかなぁ。いいですよ、どうぞ、ああ、はいはい。2014/09/16
瀬々
10
官能小説と呼ばれるものを読んだことがないので(近い内容はあります)比較しようがないのですが、柔らかなエロスという感じでした。出てくる男も女も欲を持っていて、本来ならばギラギラとしたものなのでしょうが、作者さんの書き方なのかとてもまろやかに感じるのです。欲が薄まっているのではないので、しっかりと描写もあります。それでも直接的なエロスには感じられなかったので、不思議なものだと思いながら読み終わりました。2016/05/24