内容説明
恐怖小説を執筆中に身の周りで頻発する怪現象、現代日本人の心の奥底に見え隠れする土俗神への信仰心、古都から漂うミステリアスな魔力、異国の地での神秘あふれる体験やそこで人々をとらえてやまぬ神話や伝説…。各地に伝わる風習や民俗をモチーフに数多くの小説を執筆し続けてきた著者が、その原点となる精神世界や自らの体験を解き明かしてゆく。現代人の心の底に眠る、人智をはるかに超えた存在への畏怖や感動を浮かび上がらせる、異色エッセイ。
目次
身辺怪記(身辺怪記;村社会のエキゾチシズム ほか)
南方浄土(南の島の陽気なバス;故郷の訛懐かし軍艦(マニヤガハ)島 ほか)
昔日残夢(夢の残り香;隔離病棟の夏 ほか)
日常雑録(虫愛ずる季節;頼みの綱の半覚醒没入法 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
002
7
エッセイだった!日本の歴史は好きです。身近な神様への信仰心がなくなっていくのは、もったいないことだなーと。この人の小説読んでみたい!2015/03/13
バーベナ
6
著者は高知県生まれ。実家のある集落で順番に回ってくるお参り当番。何故しなくてはならないのか?根本はすでに曖昧のまま、『昔からの決まりだから』ひっそりと続けられている行事。こんな行事が日本各地、いえ世界にもたくさんあるのでしょう。そんな事実を書き残したり、物語に広げたり。面白い人だなぁと思う。2015/03/16
cithara
6
タイトルからして著者の身の周りで起こった超常現象について書かれたものかと思ったら違っていた。26年前から著者のタヒチ(及び他の太平洋諸島)への思い入れが相当のものであったとうかがわれる。現在はタヒチ在住だもの。念ずれば通ず。著者がどうして日本の土俗的な風土(土佐)とイタリアのような全くの異国を並列して描けるのか、かねがね不思議に思っていたが本書を読んで納得。著者にとっては同世界なのである。本書を読んでいると著者に協調性というものが欠けていることが分かる。一度ゆっくりお話してみたいと思うが怖い気もする。2013/09/19
ハル
5
タイトルから、山岸涼子的なエッセイを想像していたのでちょっと肩透かし。そういった部分は本当に序盤だけだった。それでも、今まで読んできたこの人の小説のきっかけになったんではないかというエピソードも沢山あって楽しめた。子供の頃の思い出も親近感が持てる人柄がみえて、なんだか嬉しかった。2019/02/09
cozy
5
古いものを貴んでいたひとなのだと思う。薄れてなくなりゆくある文化に対して、惜しむ気持ちが伝わる話が多い。この本をkindleで読んだ人間がいることを、書いた当時の著者が知ったらどう思うのだろう。幼いころ本を買ってもらった気持ちとともに、惜しく思われたかもしれない。2017/11/11