内容説明
中学2年の夏、桃子は親友のすみれとバス旅行をしていた。ところがそのバスが事故を起こし、ふたりは崖下に転落してしまう。大怪我をしたすみれとともに救助を待った桃子だが、すみれは「わたしの分まで生きてね」と言い残して桃子の目の前で息を引き取った。その日以来、桃子は「すみれが自分の中で生きているような」不思議な経験をしながら成長した―。生と死で別たれても続くふたりの友情を描く、長編ホラー小説。
著者等紹介
新津きよみ[ニイツキヨミ]
1957年、長野県生まれ。青山学院大学卒。旅行会社、商社のOLを経て、88年に作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジンベエ親分
32
これもホラーじゃなかった(笑) 終盤まではごく普通のミステリー。それもフェアプレイが過ぎて終盤までに分かってしまう。主人公の桃子は中学生の時のバス事故で1人だけ生き残り、亡くなった親友が自分の中にいるような感覚を持っているのだけど、その設定が生きるのはラスト近くになってから。このシーンは映像化するとすごく怖そうな。序盤から中盤も膨らませれば、かなりキレキレのホラー映画になりそうな気がする。桃子のキャラクターもハードボイルドっぽいムードがあって良いし。主演は新垣結衣でぜひ(笑)2017/08/26
らむり
31
バス事故でたった一人生き残った奇跡の少女、桃子の周囲で連続殺人や心霊現象が起こるホラーミステリー。女同士のどろどろもあり、色々詰め込んであるわりには、薄っぺらい感じのお話。”一人だけ生き残った”という設定があまり生かしきれていないような気も。まぁ、面白かったんだけれど。2013/04/19
そのぼん
25
十八年前、大勢の犠牲者を出したバスの事故で一人だけ生き残った女性が主人公の作品でした。『ひとり』という紙が現場に残された殺人事件を追っていく展開で、重い内容の割にはさらっと読めました。2017/07/31
まこと
6
ホラー文庫ですが、怖くはありません。バス事故によるたった一人の生存者である少女と目の前で息を引き取った親友の不思議な友情が18年後の連続殺人事件とバス事故の真相を暴くサスペンス・ミステリー。また事故により父親を亡くした刑事・井垣俊も好感が持てて楽しめる。2012/07/05
陽色
5
新津さんの本は、心理的描写がクローズアップされていて、サクサクと読めるので結構好きです。女性向けなのかな。今回は、中学生の時に共に乗り合わせていたバスの転落事故で親友と死に別れてしまった女性の話。その日から、その親友が自分の中に居るような感覚を覚えながら、自分自身の道を歩けずにいた桃子が大人になって遭遇した殺人事件がきっかけで自分を取り戻せるか・・・。最後はちょっと駆け足的な部分が否めなかった。心理ホラーといってるがそこまでコワくなかった。また他の作品も読んでみたい。もっと心理的部分を掘り下げても良かった2011/10/31