内容説明
事実上の副将軍として徳川幕府を支え、初代会津藩主としても藩の経営にめざましい手腕を発揮した不世出の名君、保科正之。信賞必罰の誠実な裁き、難事への的確な対処、温情ある窮民救済―。下情に通じ、その大器と清らかにして奢らない人柄によって人望を集めた正之の肖像を描く連作小説集。正之誕生の逸話と、異母兄家光に見出されるまでの辛苦を語る「浄光院さま逸事」、振袖火事の収束と復興計画のユニークな発想をとおして、その優れた政治手腕を描いた「名君と振袖火事」など五話を収録。
感想・レビュー
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Gotoran
15
本書は、先に読んだ『保科肥後守お耳帖』の後に書かれた姉妹本。収録作品は、「浄光院さま逸事」「骸骨侍」「名君と振袖火事」「保科三勇士」「又市殺し」の五編。いずれの作品にも三代将軍徳川家光の腹違いの弟保科正之の名君振り(頭脳と政治的手腕)を旨く引き出し・描き出している。特に、正之の母の語りで出自が明らかとなる「浄光院さま逸事」と明暦の大火、別名振袖火事での大所高所からの炯眼振りが発揮された「名君と振袖火事」が非常に印象深かった。江戸城天守閣は明暦の大火で焼失したが、正之の理に叶った裁量で再建されずとも。2013/10/07
kely
6
会津初代藩主保科正之のお話。あまり有名じゃないけど、名君といわれている人物。保科正之のエピソードが5編の短編小説として書かれている。おもしろく読み終えた。2014/07/02