内容説明
どこまでも救いのない物語。それはある瞬間、ふとどこかに突き抜ける。矛盾した言い方だが、救いのなさが逆に救いに繋がっていくのだ…ブルースに否定されながら、それでもブルースにしか癒しを求められない人間たちのあがき。それが、ブルースを前面に押し出す時に花村万月が描く物語である。マンハッタン・レノックスのスラムで薬漬けになった伝説のブルースギタリストと濃密な時を綴った『ナッシング・バット・ザ・ブルース』をはじめ、音楽を、空気を、匂いを、物語に昇華させた万月文学の原点。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
葛西狂蔵
3
花村萬月の初期短篇集。バイク、暴力、セックス、ギター、ブルース、これらを題材にハードボイルド調の文体で綴る。はっきり言ってしまえば、まともな作家なら気恥ずかしくてまず扱えないようなテーマだし、陳腐な物に成りかねない題材だと思うのだが、変に奇を衒う事もなく直接的に描いていながら陳腐にもいやらしくもなっていない不思議な作品だと思う。ほんの少しクサくはあるのだが、素直に面白い。2017/04/19
デルタアイ
2
短編ながらも花村節が満載で なんならそのまま長編へ続いてもいいような物語だらけだった 部分的に1番美味しい場面を巧く切り取ったような短編の見せ方に 著者の器用さと巧さを感じた 基本毎話男と女の絡み合いで下品さは感じなかったが 最後のナッシング〜だけは異様だった ☆8.32020/07/05
たか。
2
久しぶりの花村作品。短編も中々面白かったです。2016/01/29
たーくん
1
どこまでも救いのない物語。それはある瞬間、ふとどこかに突き抜ける。矛盾した言い方だが、救いのなさが逆に救いに繋がっていくのだ…ブルースに否定されながら、それでもブルースにしか癒しを求められない人間たちのあがき。それが、ブルースを前面に押し出す時に花村万月が描く物語である。マンハッタン・レノックスのスラムで薬漬けになった伝説のブルースギタリストと濃密な時を綴った『ナッシング・バット・ザ・ブルース』をはじめ、音楽を、空気を、匂いを、物語に昇華させた万月文学の原点。 2016/06/20
Naoki Tanaka
1
花村萬月の初期作品で初の短編集です。 1話が短いので少し物足りない気がしますが花村ワールドを手軽に楽しめました。2014/01/23