内容説明
身近に迫る死を個人病院のベッドで冷静に待つ相田。相田は、その経営手腕で商売を広げ、一代で財を成した。すでに殆どの商売を整理していたが、半ば趣味でやっていた相田モータースにひとりの社員を残した。その彼が最後に命じられたのは、〈相田モータースで販売した名車の行方を追え〉というものだった。サーブ96V4、カルマン・ギア、マセラティ・ビトゥルポ、ファセル・ヴェガ・エクセレンス…。幻の名車の陰に、見え隠れするのは女。死を目前にした相田の真の願いはなにか?社長への忠誠心をハードボイルドに、男はシトロエン2CVを疾走させる。大型新人の鮮烈な長編小説。