内容説明
「庭…」―それが精神科医・大崎の最期の言葉だった。原因不明のノイローゼから自殺同然の死に方をした大崎だったが、彼は死の直前に自分の患者・安部綾子を同僚の山之内に引き継いでいた。綾子を診察するうちに山之内が辿り着いた大崎の死の真相とは。少女の見る夢が現実を狂わせていく―。書き下ろし表題作「滅びの庭」を含む全五編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キンモクセイ
63
自選恐怖短編集。〝家庭教師〟期待外れの旅。雨の降る中で車内では夫婦が険悪な雰囲気。鈍い音がした。ぶつかった、誰も知らないと思っていたのに。〝砂に書いた名前〟夏休みを利用して朋子がいる島に来た。喜んでくれると思ったのにビンタか。楽しいはずだったのに、あの足音は何だ?やっぱり来ない方がよかったのかもしれない。〝滅びの庭〟精神科医の山之内は同僚からある少女を担当する事になる。その直後同僚の突然の事故死。彼は「庭...」とだけ言って亡くなった。少女の見る夢と現実が恐ろしく重なる。まさか...。2021/04/25
あなご
23
5編からなる短編集でした。そのなかでも家庭教師の話が一番怖かったです。2013/03/18
Porco
20
赤川次郎のホラー作品は初めて読んだ気がするが、Jホラー前夜の古き良き怪談に近い風情を感じる。すうっと気負いなく読んでその感慨のまま終わったので、全体的に作品の印象が薄い。2024/05/28
にゃにゃ美
17
赤川さんらしい軽めのホラーで、何も考えずに読める娯楽本。現実には有り得るわけがない、そう思いながらも少し不安が残る。「世にも奇妙な物語」を観たような感じ。短編5話中「滅びの庭」が良い。現実化する箱庭が目の前にあったら、私は何をするだろう…怖い。2015/11/17
星落秋風五丈原
15
「君向きの患者だと思う。」精神科医・大崎は一人の少女を同僚の医師・山之内に引き合わせた直後、そう言い残して謎の自殺を遂げた。その少女・綾子を診察するうちに、彼女の恐ろしい能力に気付いた山之内だったが…書き下ろし表題作。轢き逃げされて死んだ恋人達の復讐、恋人とその父親の謎めいた言動に不審を抱く男。シンバルの響きによって過去に犯した罪を思い知らされる女。恐ろしく哀しい5つの作品を収録した自選集。1996/06/04