内容説明
刑が確定した死刑囚は、自殺房と呼ばれる舎房の中で、いつ訪れるかわからない「その日」を、じっと待たなければならない。しかし、密行主義といわれる日本の死刑制度では、我々は彼らの「その後」を知ることはできない。彼らは何を思い、何を考えているのか…。本書は、報道されることのない死刑囚たちの「その後」を徹底取材し、あらためて死刑制度の存続を問う、衝撃のドキュメントである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
北風
27
ケイブンシャの怪獣怪人大百科のノリで57人の死刑囚の紹介が続きます。前と変わらず取材不足が目立ち、詳細さが死刑囚ごとに大違いです…。だいたい死刑廃止の人の言い分って、ほんとに死刑囚の命うんぬんより、自分たちの意見が認められたいがために叫んでるようにしか思えません。公子ちゃんに聞きたいですね、なぜ他人の人権を踏みにじるようなヤツの人権を守らなきゃいけないの??2015/01/10
みなみ
14
死刑囚には二通りあると思います。冤罪とそうでない死刑囚です。冤罪でない本当に殺人を犯した死刑囚に対しても「殺人を犯す時には別の人格が入り込んでいた」とか「死刑執行という恐ろしく悲しいことが待ち受けている」と書けるのに腹が立ちます。殺されてしまった被害者の気持ちはどうなるのですかと問いたいです。2020/04/12
GELC
11
「処刑前夜」を読んだ時に単純な疑問として、死刑囚同士の交流や、俳句や茶に親しむ時間が意外なほどある、と感じた。本書によると、75年以降、急速にそれらの自由が無くなっているということで、現状の認識に至ったことが納得できた。囚人同士の交流も無く、ただ無為に日々を過ごすだけでは、精神的な向上を望むべくもないわけだが、被害者としては、ただただ死に怯えながら最後を迎えるか、理性で罪を理解し乗り越えた先の贖罪の境地に至る方がを望むのかは、難しいところだと感じた。2023/06/13
LaVieHeart
8
30年程前の本で、挙げられる事件の多くが私が生まれる前の事件だし、事件の詳細についての記述が少ないものも多く、その量刑が妥当なのかどうかは私には分からない。著者は死刑廃止論者で、死刑の是非はこの1冊を読んだからといって死刑反対に賛同はできない難しい問題だ。ただ、犯罪者の命とはいえ人の命、というのは確かだし、記載される死刑囚の手紙等を読み、知的障害っぽいものや、冤罪の可能性も否定できないものもあるが、「アイツは殺したけど自分は生きたい」というのは、人を殺すまでの覚悟としてちょっと違うのではないかと感じる。2024/09/21
わか
5
1995年当時の死刑確定者57名について罪状と拘置所での生活が記されている。外部交通をしていない確定者もいることから、記述には濃淡があるが当時の状況を概観する際には必ず参照すべき良い本だろう。一方気になったのは著者の書きぶり無神経さである。私も著者と同じく死刑反対論者だが、死刑囚に肩入れするあまり被害者遺族の不寛容を嘆くようなところには読んでいるこちらの神経を逆なでするようなところがある。私ですらそうなのだから、死刑存置派が読めばなおのこと。この本で死刑反対派の味方を増やせるかというとかなりの疑問。2022/09/16