内容説明
鷺沢さんの旅はどこへ行ってもトラブルばかり。事前に目的地の正確な位置を調べなかったために、10メートル先も見えない霧の峠道で「はとバス」を反対車線から無理に追い抜くことになってしまったり、安いチケットを追求したために複雑な経由の便になってしまい、ロスト・バゲージのためシカゴの空港で6時間もひたすら待つことになったり―。だけど、やっぱり、旅立たずにはいられないのでした。笑って泣ける珠玉のエッセイ集。
目次
平成のツボ
緑色の楊枝
良い子は決してマネしないでね!
とてもオソロしいグリム童話
博多にて
カニになった日
エビになった日
メシのモンダイ
ありがとう、おっちゃん
今日も黒い服〔ほか〕
著者等紹介
鷺沢萠[サギサワメグム]
1968年東京都生まれ。上智大学外国語学部除籍。「川べりの道」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「帰れぬ人びと」などで芥川賞候補。「ほんとうの夏」などで三島賞候補になる。2004年4月11日永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
292
鷺沢萌のエッセイ集。タイトルからは旅のエッセイみたいだが、それは一部で多くは日々の雑感を綴ったもの。構えることなく書いているという感じである。露悪的というわけではないが、えっ鷺沢さんて(めめちゃん)こんなだった?、といった自己暴露話もあったりする。例えば、彼女は掛け算の九九が六の段までしか言えないとか。ちなみに彼女の最終学歴は上智大学外国語学部除籍である。なお、除籍になった理由はお勉強ができないからではないと思う。ちなみに早稲田なんかは早退の方がいばっていたりするのだが。彼女が亡くなって20年になる。⇒2024/06/09
ひめか*
46
図書館で鷺沢さんのエッセイを探すと、古くてカバーもなくむき出しの本が多いが、これは比較的新しいのか綺麗。表紙可愛い。読んでいるとそれとなく時代を感じる。「まじ」は今後も使われ続けていく言葉だと思う、といった部分を読むと、今を生きる私としては今はこうですってお返事を書きたくなる。旅先でカニになったりエビになったり、相変わらず面白い人だな。「田舎にでも帰るってどういうこったコノヤロー、田舎に帰るって台詞言ってみたい」という気持ちは私も共感w!めめさんと旅行なんてしたら、さぞかし毎日愉快で疲れも吹き飛びそうだ。2016/03/04
アップルティー
9
お気に入りさんのレビューに惹かれて。著者が死の直前まで綴った、主に旅のほろ苦い経験や考えたことについてのエッセイ集。平成時代の流行や風潮についての言及もあり、懐かしい気持ちで読んだ。著者の精神面や育った家庭環境についても少し知ることができた。共感できることが多い、正直で軽妙な文章。突然、鬱に飲み込まれてしまったのだろうか。まだまだ書いていて欲しかった。2024/07/03
いちの
8
すんなり読める本で、表紙がかわいかった。 「せめて二秒間の思考を」「大事な「あ」」の二篇が特徴的だと思いました。平たく言うと「空気を読む」ということについて書かれていて、過去作ではあんまりなかった方向性かなと。エッセイ頻出のご友人が解説を書かれていて、その結びの段落に感動しました。2020/02/02
naka-m
8
鷺沢さん最後のエッセイ集。一昔前に流行ったエッセイという感じだがさすがに文章がうまい。世間との向き合い方というか何に喜怒哀楽するかみたいのが自分と似ているので共感するところが多い。エッセイ集他にも何冊か出てるみたいなのでちょろちょと読み進めたい。2016/05/19