内容説明
地方。小さな町。閉鎖的なあの空気。班。体育館の裏。制服。渡り廊下。放課後。痛いほどリアルに甦るまっしぐらな日々―。給湯室。会議。パーテーション。異動。消し去れない痛みを胸に隠す大人達へ贈る、かつてなかったピュアロマン。恋とは、「堕ちる」もの。
著者等紹介
姫野カオルコ[ヒメノカオルコ]
1958年生。90年、初の単行本『ひと呼んでミツコ』以降、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
329
女子だったら誰にでも覚えがある、クラス内ヒエラルキー、初めてエロスを意識した恋、そして教師との恋愛などなど...心がざわつきっぱなし。ラストにもヤられた!ここまでの著者ベスト。2016/12/18
遥かなる想い
220
20年に渡る 河村礼二郎と森本隼子の 恋の物語である。 隼子の小学生から 中学生の日々を子供視線で 軽快に語るが、正直 登場人物が 多様過ぎて、 教師 河村の人物造形が弱いのが 少し残念。 逆に 大人になった 隼子と 友の成長ぶりが 心地よい。 扇情的な表紙とは裏腹に、 何年経っても 忘れられない恋を リリカルに 描いた、メルヘンだった。2018/11/02
ちょこまーぶる
153
本のタイトルと装丁の素晴らしさで購入。子どもから思春期そして大人となっていく隼子と彼女の友人や教師の間での様々な出会いから別れの物語であるが、恋とは堕ちるもの(ツイラク)という表現をその年代のそれぞれの価値感や葛藤を通して表現されていて、非常に読みやすかったし、そんな考え方を自分もしていたのかなあと過去を回顧しながら読んでしまった。それから、社会人になった隼子と教師であった河村の再会までの過程と再開後の距離感の微妙さが大人になった証だろうか?そして、再開後の抱擁の後がどうなった?と気になって仕方がない。2014/01/07
めろんラブ
141
恋にオチるのは事故みたいなもの。どんなに用心していてもツイラクするときは、する。ツイラクの衝撃は甘美な痛みを伴いながら、後戻りできない二人を苛む・・・。童話シンデレラや映画プリティ・ウーマンをこき下ろし、現社会システムにおける女性の幸福を世に問うてきた姫野さんが描く恋愛。やはり一筋縄じゃいかない、恋愛モノにありがちな陳腐さの欠片もない、ラジカルで野心溢れる作品だった。青春の残滓を愛でることに戸惑いを覚える方や、恋愛小説アレルギーを自認する方にこそお薦め♪2012/10/26
優希
117
凄く苦しくて、それでも読まずにいられなかった恋愛。たまたま生徒でたまたま先生だったというだけ。禁断の恋でも堕ちてしまえばどこまでも堕ちるしかないのです。生々しい思春期とエロス。ヒリヒリして胸がぎゅっとなりました。ただ「好き」というだけでは恋とは呼べない。本当の恋は「堕ちる」もの。本物の恋の経験のある人はどれくらいいるでしょう。自分はまだ「堕ちる」恋を知らないのかもしれません。大人向けの作品です。2015/11/05