内容説明
たとえば、姉の食べ残しに弟が躊躇なく手を出せる―そんなふつうの生活を理加子は夢みている。軍隊にも劣らないほど強権な父親と、一度も家族を愛したことのない母親のもと、理加子は大屋敷家ただひとりの子供として“石の歳月”を過してきた。“不良になるから”という理由で、映画、読書はもちろん電話、手紙に至るまで禁止されてもなお、理加子は両親に逆らえない。そんな彼女の前に粗暴で強引な男性江木が現れ、次第に心を開いてゆくが…。子供から大人へ。集団から個へ。誰もが通過する家=家族との決別を綴った切ない物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆきらぱ
30
今突然夢中になってる姫野カオルコ様の御作品。 このご両親のエピソードがすごい 意味がわからないからかえってリアルだ でもそんな両親のもとでこそ、この主人公の感性は磨かれたのだろう 私もちらっと脳裏に横切るキリコの絵を見過ごすことなくこれからも生きていきたい2022/05/19
のせ*まり
26
両親の異常な支配下で育った29歳の理加子。同い年として、初めは、自分達の使い勝手の良い道具にしか娘を思っていない父母や、それを受け入れてしまっている理加子が気持ちが悪かった。でも徐々に理加子の独白が自分と重なるところがあって戸惑った。特に江木との言い争いの場面。相手の悪いところも全部の受け入れて、自分も理解してほしいという真意が伝わらないもどかしさとか。小説の中で描かれる小物の描き方がその時の主人公の心情を如実に表すメタファーは見事。他の人がどう感じるのかとても気になる小説。2017/04/07
ふみ
22
処女三部作の1冊目。 そうか、あのりきこちゃんの原点はここにあるのか(笑)祝りかちゃんハウス脱出。2016/09/06
ナツゴロウ
16
片親で育ったわけでなく、親が無職というわけでもなく、周りからは普通の家庭に生まれたちょっと綺麗な女の子に見られるような存在でも、苦しみは本人にしか分からない、ちゃんと口に出さないと、分からない、そんな1冊でした。登場人物に理解出来ず話が重いので賛否両論わかれそうですが、私は大絶賛です。こういう親に育てられるとこういう子に育つのです。でも救いは、リカコが頭がよかったこと。ちゃんと江木さんを見れた。親から離れれた。もっとガツンと言ってやればよかったのに!!って思うけれど、これが彼女の良さなんだろうなぁ。2019/07/23
井戸端アンジェリか
16
笑ってしまった。笑うような話じゃないのに、江木との最後の対決と皮肉にケケケ。ワキガ鈍感大バカ野郎に貴重な処女をあげなくて良かった良かった。 家が厳しいと言うよりも人としてどうなのか、な両親が気持ち悪い。ミシン病もリューマチも治っちゃうような爆弾落としちゃえよ。2015/05/21
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- 和書
- 唐長安大明宮 〈下巻〉