内容説明
「はじめてお目にかかります」赤い自転車に乗ってきた不思議な女性。彼女と会ったのは、おかしな手紙が縁だった。同封されていたのは確かに僕の小学校時代の遠足写真。だが、彼女とは絶対同級生ではないのだ―。モノトーンの映画を観るような物静かな存在感に満ちた作品「遠い記憶」ほか八編を収録。ノスタルジックなエッチングと文章が現実と創作を解け合わせ、胸を騒がす。沢野ファン必読の半自伝的短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nemuro
12
思えば、随分と日数をかけての読了。読み終えてから改めて紹介文を見ると、「ノスタルジックなエッチングと文章が現実と創作を解け合わせ、胸を騒がす。沢野ひとしファン必読の半自伝的短編集。『放埓の人』を改題」とあった。たしかに、「きっと、半自伝的な小説なんだろうなぁ」などと感じながら読み進めたところ。残念ながら、沢野ひとしの本を書店で見かけることは少なく、自宅本棚にも、滝川の「ブックオフ」で買った本書のみ。いつも頭の片隅にはあるので、もしも、どこかの書店で偶然発見したりすると、きっと嬉しいに違いない。2019/05/29
マコ
2
子供の頃椎名誠の本で知った沢野ひとしと再会したのは、図書館で一冊の本と目があったからだ。それは山のアンソロジー本で「縦走路の女」が一番最後に載っていた。見つけた、と思った。この本を読んで、なぜ沢野ひとしと引き合ったかがわかった。自分を理解してくれる人はいないとわかっているがゆえにひねくれていて、たまに誰か/何かをいいなと思うと子供のように追ってしまう。いつの間にかよくわからない位置にいたりする。そしてやはり理解されない。出てくる飲み屋さんはゴールデン街でしょうか。行ってみたいなぁ。お酒飲めないけど。2020/08/20
takegen
1
旅行先の喫茶店の軒下で寄付目的で販売していた古本。 初めて読む著者の本。男性目線のノスタルジックな物語。橋を題材にした物語。山の景色が静かに見えてくる物語。様々な短編が織りなす独特な世界観に浸れる一冊だった。2019/06/11
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