内容説明
それは奇妙な殺人現場だった。映像プロデューサーの黒岩拓三が殺されたオフィスの一室は、あらゆるものが開けっぱなしになっていた。オフィスのドアというドア、窓という窓。どこから殺人者が侵入し、どこから逃げ出しても不思議はない状況。それだけではない。冷蔵庫の扉にインク壺の蓋、ビタミン剤のキャップ、はては死体のズボンの社会の窓まで開いていた。密室ならぬ、世にも不思議な「逆密室」!殺人者は、なぜ異様な舞台を作らねばならなかったのか?警視庁捜査一課・烏丸ひろみ刑事、記念すべきデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
263
吉村達也さんの長編第2作は1987年4月刊行で原題が「カサブランカ殺人事件」で、時代背景としてソ連がまだ存在していましたね。本書は初のシリーズ探偵の女刑事・烏丸ひろみ25歳のデビュー作品でもあり彼女は鋭い推理を閃く才能と共に女だてらに450CCのバイク乗りの趣味も持ち男子にモテモテです。他のレギュラーに日本生まれの混血外人フレッド、妻子ある身だがひろみがタイプで公然と狙う中年の財津警部ですね。まあ三人は冗談を言っても仕事はキッチリ片付けチームワーク抜群ですよ。事件の舞台は日本とモロッコのカサブランカです。2022/06/02
ゆのん
63
【シリーズ1作目】映像プロデューサーが殺害されたオフィスはドアや窓の全てが開けっぱなし。それどころか冷蔵庫、あらゆる引き出し、インクの蓋や薬瓶の蓋、死体のズボンの社会の窓まで開けてある正に『逆密室』事件。舞台は日本、カサブランカ、パリとグローバル。捜査するのは主役・じゃじゃ馬女刑事、日本生まれ日本育ちの金髪外人刑事、美人に弱い警部の異色の3人。スパイなども登場しシリーズ1作目にしてかなり楽しめた。作者の既読本は心理ミステリばかりで刑事物は初めてだったが今後どんな突拍子もない事件が起きるのか楽しみだ。2022/08/22
coco夏ko10角
24
烏丸ひろみシリーズ第1弾。カサブランカでの事件、そして日本でも連続殺人が…。窓・引き出し・蓋・被害者の社会の窓までもオープンになってる逆密室、そういう理由だったのか。かなり初期の作品のようで後期とはちょっと文章が。2018/08/16
ひで
6
烏丸ひろみデビュー作。2016/02/23
honoka
4
★★☆☆☆工作員のパートが読みづらくて読了まで時間がかかってしまった。しかも工作員は事件とは関係ないに等しく単なる邪魔なだけでホント拍子抜けだったわ…。初期の作風はこんな感じだったと「あとがき」で作者が振り返っておられて読みづらかったのはそのせいかと納得できた。2021/03/22