内容説明
作曲家の高津文彦は、出奔した妻・紫津子を追って桜の花を手懸りに吉野、奈良、京都へと旅をつづけていた。そしてついに仁和寺で、タクシーに乗っている紫津子を見つけだすが、彼女の隣りには顔をコートの襟とサングラスで覆った正体不明に男が同乗していた―。現実と幻想の狭間で奏でられる愛と背徳の旋律が哀しくも美しい長編恋愛ミステリー。衝撃の結末へ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
47
後半に入って、主人公は吉野や奈良また京都など観光地を転々とします。読者へのサービスとも考えられますが、なぜということでのミステリー部分が解き明かされていくのですが、読むのが結構しんどかったというのが本音です。昔読んだときは、やはり体力があったのと気力もあったのでしょうね。2015/05/29
harukawani
4
15年夫婦生活を送っても素顔の知れない妻が15年前に死んだはずの浮気相手と失踪し、それを夫が追うのだが、謎の美女が現れ…という、まさに連城三紀彦というような展開。桜やバイオリンなどを使った官能的表現、映画的な風景描写にぐいぐいと読まされたのだけど、上下巻で書くほどのことでもないのでは、と。とにかく長い。夢の中にいるような掴み所のない謎が解かれていった先に待つ、あまりにも酷い真相や動機は、面白く魅力的だったけれど。僕は好き。けど、連城三紀彦ファンだからだろうと思う。2015/06/15
mnagami
2
なかなか読み応えのある作品だった。振り返ってみるとあえて、連城的な描写をふんだんに散りばめたのかとも思う。引っ張るだけ引っ張って終盤に凝縮させるみたいなことをしたかったのかとも想像させられる2016/07/17
tamanarasan
2
連城三紀彦の美しい景色描写・心情描写がふんだんによめる。ただ正直多すぎて少しだれる。ミステリとしては散りばめられた細かい謎を丁寧に回収する感じ。恋愛小説だと思って読むほうがいい。2011/11/17
salty orange
1
前半から後半終わりまで謎謎のオンパレードで抽象的でなんじゃこりゃだったのに、後半終わりのネタばれで一気に変態小説と化す。びっくりだよ。読むの辛かったわ。こう書いても連城さん気に入ってるのですよ。でも、これは合わない、私には全く合わない。流し読み。残念、、、2014/11/12