内容説明
尾張を統一した織田信長は、宿敵・斎藤氏を滅ぼし美濃を攻略した。木下藤吉郎が次第に頭角を現す。心の安らぎであった愛妾・吉野が世を去り、岐阜に居を移した信長は楽市・楽座など画期的政策を導入、「天下布武」を鮮明にする。近江の浅井長政に妹・お市を嫁がせると、明智光秀の要請を容れ、ついに足利義昭を奉じ上洛を果たす。信長の軍略・政策を明らかにした津本歴史文学の最高傑作。文字が大きく読みやすい角川文庫版。
著者等紹介
津本陽[ツモトヨウ]
1929年、和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。78年、『深重の海』で第79回直木賞受賞。代表作に信長、秀吉、家康を描いた『下天は夢か』『夢のまた夢』(95年第29回吉川英治文学賞受賞)『乾坤の夢』の“夢三部作”などがある。2005年、第53回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
25
信長の勢力がどんどんましていく一冊です。戦いの場面は臨場感溢れており面白いです。2024/06/01
姉勤
14
美濃を平定し、京までの道を斬り開き、上洛を果たす信長。将軍を掌中にしての生殺予奪の自在は、御託の上の神仏を超た第六天魔王として振る舞う。その傲岸が、浅井の心理を読み切れず死地に足を踏み入れ、裏切りへの怨みは姉川の激戦の因となる。戦術、関所、建築、流通、権力機構のリストラ…支配地に威令を布き、信長によって中世が解体されて行く。2014/08/15
ぺぱごじら
12
墨俣築城~姉川合戦まで。大体の歴史小説でもこの作品でも、初期に比べて段々と信長の心理描写は少なくなりつつある。木下藤吉郎の活躍が頻繁に書かれると、それはそれで新聞小説としては盛り上がるが(笑)「信長のお話」ではなくなってくるんだよなぁ。生駒御前の死は、信長の世界をいきなり虚しくしてしまったのだなぁと感じるが、自分を神とか考え始める彼は、桶狭間の彼より遥かに弱い。2017-52017/01/08
只三郎
9
美濃を制するまでの苦労が嘘のように、勢力を拡大していく信長。 地の利もあるだろうが、これも天下統一を念頭に流動的に動ける信長だからこそ可能にしたのだろう。 もし、武田信玄や上杉謙信でも信長のようにはいかなかっただろう。2023/09/27
rei
4
2巻はお市を浅井に嫁がせ美濃攻略への備えを強めていくところから始まる。秀吉による洲俣築塁、明智光秀を配下につけ上洛をはたす、ルイス・フロイスとの邂逅など読みどころは多いがやはり金ヶ崎の退陣の場面が一番読み応えがあった。2巻までの印象だが、最初そのお国ことばでずいぶん癖があるように思われたのだがエピソードにしても、登場人物の性格にしてもわりとスタンダードな感じがする。信長の性格もあまりとがっていないし。人物の魅力を楽しむというよりはどちらかというと戦の場面の臨場感のほうが面白いかもしれない。2012/10/13