内容説明
敗戦の苦い経験は、五十数年の歳月のうちに、思い出したくもない記憶としておおかたが消え去ろうとしている。しかし、日本民族の必死の力を、歪められた形であったとはいえ発揮した戦争の経験は、決して忘れ去っていいものではない。私は作家として生きている間に、日本民族が、なぜ没落しては繁栄をとり戻すことを繰り返してこられたのか、その理由を確かめたい。それを文章に綴り、あとに残った日本人に、確固とした自信を持たせ、先に旅立った先祖たちに、それを報告したいのである。「なぜ書きつづけるのか?」告白する自伝的小説。
著者等紹介
津本陽[ツモトヨウ]
昭和4年、和歌山県生まれ。東北大学卒業。昭和53年、『深重の海』で第七九回直木賞受賞。平成17年、第五三回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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