内容説明
―1975年2月、南ベトナム。敗戦の色濃いサイゴンで暮らす元空手教師の私は、陥落目前の喧噪の中で、最愛の娘マリコの誘拐を知った。2年前に別れた妻チー・マイからの伝言だった。すぐに私はかつて暮らした邸を訪れると、チー・マイの父がすでにサイゴン市警に極秘で捜査を依頼していた。そして犯人からの要求は、明日フェプビン村の市場まで身代金5万ドルを私に運ばせろというものであった。なぜ、私が指名されたのか?翌日、私は嘔吐感と眩暈の中、単身ベトコンの屯する村へと向ったが…。狂気と混乱の世界を舞台に描く、男の焦燥と執念。渾身の冒険大作。
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- 和書
- 定本夢野久作全集 〈2〉