内容説明
幕無安政の頃、欧米列強の近代技術を背景にしたアジア植民地化の荒波は、ついに日本にも訪れた。そこで２５０年余り続いた徳川幕府最大の危機を乗り切るため打ち出されたのが幕府海軍を組織することであった。まず創設されたのが長崎海軍伝習所。そこではオランダの力を頼みに航海術から数学、地理学に至るまで最先端の教育が行われ、多くのエリートが集まってきた。中には後に五稜郭にたてこもり明治政府と対決する榎本武揚や勝海舟など見果てね夢を持った血気盛んな若者たちの姿があった。時代の急流にさらされながら、野心と知的好奇心を溢れさせる熱き青春群像を、多彩な長崎の風物を背景に刻んだ書下ろし歴史長編。
