内容説明
関東最大の怨霊・平将門を喚び覚まし帝都を破滅させる怖るべき秘術とは。日本初の風水小説にして、あらゆる叡知が結晶した大崩壊小説(カタストロフィ・ノベル)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
153
波多野さんの「銭の戦争」を読んでいましたら、結構この「帝都物語」を引き合いに出されている方がいたので、30年ぶりに読み始めました。辰宮洋一郎を狂言回しにして、さまざまな実在の有名な人物や加藤保憲を配し、首都東京の都市計画をどのようにしていくのかが見ものです。もう30年たつと詳細は忘れてしまっています。ただ荒俣さんは用語や実在の人物などの説明をきちんとしてくれて助かります。2016/11/11
文庫フリーク@灯れ松明の火
95
荻原規子さん『RDG』の「式神」「九字を切る」に荒俣宏さん思い出し、ほぼ30年ぶりの再読。「蠱術・蠱毒」(蟇蛙や毒蛇、ムカデなどの毒虫を百種集め一つの器に入れ、互いに殺し合いをさせ、最後まで生き残ったものを使う呪殺術)を最初に知ったのは『帝都物語』・夢枕獏さん・諸星大二郎さん・どなたの作品だったか。時代は明治四十年・帝都東京の地霊を鎮め、風水や奇門遁甲による帝都の防衛と繁栄を図る極秘の改造計画に召集された精鋭たち。その精鋭に加わった陸軍少尉・加藤保憲は、千五百年の怨念背負った【まつろわぬ民】の末裔。→続2015/07/12
ヴェルナーの日記
84
映画の『帝都物語』や『帝都大戦』を鑑賞して、本書を手にとりました。映画の衝撃が強くて、なんといっても加藤保憲役を演じた嶋田久作さんの馬面…… (あ~~、嶋田さん、ゴメンナサイ!)、ゴッ、ゴッホン! あの面長な顔つきが、加藤保憲の異彩さとマッチッグして、インパクトが凄かったことを記憶しております。また物語の登場人物に、幸田露伴とか、寺田寅彦、森鴎外など実在の人物が登場することも斬新です。とくに映画版では人造人間「學天則」を製造した西村真琴役を、水戸黄門様を演じた息子の西村晃さんが演じたのが印象的でした。2015/12/21
つたもみじ
34
明治の末、江戸から東京へと大変換を遂げようとしている帝都。大蔵省の若き官吏・辰宮洋一郎と、軍人・加藤保憲。依童として加藤に攫われる、洋一郎の妹・由佳理。奇門遁甲、陰陽五行に陰陽道、蟲術、風水、土砂加地…泉から湧き出るような知識に圧倒されながらも、特に「神霊篇」は読み難さを感じて結構な時間が掛かってしまった。幸田露伴や森鴎外、渋沢栄一など実在の人物の登場や、当時の都市計画など。物語は面白かったけど、なんとなく後味は悪いなぁ。ああ、なんか洋一郎をブン殴りたいよ…グーで。2017/04/30
姉勤
34
古の日本列島の被征服民族、もしくは渡来人の末裔を匂わせる加藤少尉が、まつろわぬ怨念から帝都東京の壊滅を企む。とにかく本編に絡む挿話・逸話から閑話休題へのくり返しにより、物語世界への深みにハマって行く。それはまるで音叉の共鳴のように。本書は旧篇の「神霊篇」と「魔都篇」をまとめ、明治40年から関東大震災発生まで。敵味方が東洋魔術(道教の方術、密教の法術)と開明してきた科学の法則を駆使し、渋沢栄一、幸田露伴等、時代の著名人を巻き込んだ暗闘を繰り広げる。旧版の怪奇な空気を彩った、丸尾末広イラストが無いのは惜しい。2014/01/04