内容説明
昭和73年、世紀末的風潮が色濃く影をおとす東京に、いよいよ帝都崩壊の野望を実現すべく加藤保憲が本格的活動を開始した。コンピューターを駆使し決死の闘いを挑む大沢美千代、団宗治。また、魔人の前に立ちふさがる土師金鳳。遷都に全力をかたむける破滅教の角川春樹。一方、鳴滝純一が執念をかたむける銀座煉瓦街も徐々に完成し、辰宮由佳理を現世に呼び戻してしまう。そして、帝都を襲う大地震―。海竜が目覚めたのか、鳴滝の執念の仕業か?サイキック伝奇長編小説第9弾!
感想・レビュー
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KAZOO
132
昭和73年の世界での出来事です。加藤の野望を阻止するべく様々な人物が登場してきます。土師一族の手練れが出てきてり、あるいはコンピュータを駆使しての対決など書かれた当時としては斬新だったのでしょう。いよいよ最後の決戦が近づいているのですかね。大地震が起きて次に続いていきます。2016/12/04
saga
54
【再読】昭和60年代のコンピュータは、汎用機+端末という形が一般的だったな~。そのコンピュータを使ってトランス状態に入るというのは面白い発想だ。鳴滝老が作った地下の銀座煉瓦街で繰り広げられる死闘。ここまでくると鳴滝の方が悪役に見えてくる。破滅教の大宮司・角川春樹が見出した土師金鳳と、魔人・加藤との対決は、ちょっとしたジャブの応酬程度だけだったが……予想以上に早く訪れた首都を揺るがす大地震。21世紀を目前に、首都崩壊が実現してしまうのか?2021/07/17
らすかる
31
雪子と三島由紀夫の生まれ変わりがどこまで魔人相手に闘えるのか。また新たに魔力を持った美青年、土師金鳳(名前はダサい)登場。鳴滝の由佳理に対する邪恋がどう絡むのか。ハラハラドキドキしながら10巻へ。2019/04/07
たかぴ
17
デジタルで加藤保憲と対決する。今でもデジタルで怨霊と戦うことはある程度通用出来るのだとワクワクしました。鳴滝老の狂気が娘の命を奪ってしまう。そしてまた地震が発生する。ありがとうございました。2021/10/24
猫丸
12
団宗治大活躍の巻。お友達の滝本誠、岡田英明も登場だ。角川春樹に至ってはものすごい霊力の持ち主として描かれる。確かに変な引力を持つ人だから、版元へのサーヴィスというわけでもないだろう。かわいそうなのが路上観察学会事務局長の松田哲夫さん。天井崩落事故の被害者としてのチョイ役しか与えられなかった。さて、物語は佳境に入る。昭和70年代は世紀末とも重なるから、終末への恐れと期待が爆発寸前だ。現実世界でも昭和があのまま続いていたら、日本も今のような陰気な壊れ方をしなかったかもしれない。2019/06/07