内容説明
大陸暦1093年3月1日。マヴァール皇帝カルマーン二世は、アデルハイド姫との婚礼の席上、クールラント軍侵攻の報をうけ、急遽、大軍を親率、戦場へ直行した。ウルガール軍との連係作戦を看破し、両軍の不法侵入を撃退、一日にして二国軍を潰滅させた。そして、今また、クールラントに遠征。史上空前の版図に加え、新たな勝利を手中に収めようとしていた。が、ウルガール軍逆襲の報で本国に帰還途中、エルデイ軍の奇襲を受け、大敗をこうむった。これら時機を得た敵襲は一本の謀略の糸で操られていた…。5月19日。リュテッセンの野における、マヴァール帝国の支配権をかけた死戦はたった二人の正面決戦となった―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
p.ntsk
44
野心と謀略が物語の中心を占めて同じ異世界歴史ものの『アルスラーン戦記』とはまた違った印象の作品でした。いまだ未完でややとっ散らかってしまっている感じの『アルスラーン戦記』と違ってコンパクトにまとまっている気がします。でもやっぱり私は長編にして完成度の高い『銀河英雄伝説』が好きかな。2015/07/06
Tetchy
40
たった3巻だったが逆に無駄なくストーリーが引き締まっており、面白く読めた。読後感はやはりアルスラーンとは別物だなという印象で、こちらもよい。2008/10/25
ノリピー大尉
15
ツルナゴーラを併合したマヴァール帝国は勢いを増していった。マヴァールの膨張を警戒する周辺国は、同盟を結成し対抗する。旧ツルナゴーラの内親王アデルハイドを皇妃に迎える挙式のさなか、クールラントが侵攻したとの急報が届く。「時代の毒が人を酔わせるのさ」(65ページ) 急展開なので書き方に丁寧さが失われたように感じてしまう。 もう少しヴェンツェルを魅力的なキャラにしてほしかった。続編があってもいいかも。2016/05/28
ミヤト
11
安定の田中芳樹作品でした。勢力図が他の作品よりもごちゃついていた印象。2023/08/01
masabi
9
【あらすじ】戦乱と陰謀の果てにカルマーンとヴェンツェルが対峙する。【感想】本巻で物語は完結したが途中から一気に結末までなだれ込むので、もっと長く読んでいたかった。主要でもないキャラクタにも死の場面が用意されていてばたばたと死んでいく。ホルティの平和には我慢が必要という台詞が印象的だった。カルマーンは父殺しの贖罪が善政を敷く動機になっていたがヴェンツェルが帝位を継いだらどうなっていたのだろう。野心を満たしたことで恙無く名君として名を歴史に刻んだのだろうか。2024/09/03