内容説明
「私を成仏させてください。」浪人中の榊原久馬の家にいる美しい幽霊・小夜は辻斬りの五人目の犠牲者だった。自分の仇を討ってくれと家に現れた彼女は、久馬の母とも意気投合し、彼の身の回りの世話もするようになる。だが、小夜は怨みを捨てず、仇を討てねば、榊原一族を呪い殺すという(「影女房」より)。剣に生き、剣に魅せられた下級武士の悲哀を描いた著者、新境地の傑作時代小説怪異譚。
著者等紹介
菊地秀行[キクチヒデユキ]
1949年千葉県生まれ。青山学院大学卒業。1982年『魔界都市〈新宿〉』でデビュー後、『吸血鬼ハンター“D”』『魔界都市ブルース』『魔界医師メフィスト』等のヒット作を生み出す。日本推理作家協会会員。SF・ホラー映画愛好家としても有名
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感想・レビュー
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くさてる
15
Twitterでどなたかがお勧めされていてとりあえず読んでみた一冊。かつてアンソロジーで読んで驚愕した「茂助に関わる談合」が収録されていてさらに驚き。幽霊やこの世のものでない怪異と、剣や侍がテーマの連作集です。短編と掌編の組合わせで構成されていますが、短編は時代小説にあまり縁がない私でも面白く読める物語で、ユーモアと悲哀、恐怖のバランスが良いのですが、菊池秀行の底知れなさは掌編にあります。面白かった。2024/08/22
S 2
8
菊池先生の時代ものを初めて読んだ気がします。ちょっと長めの耳袋っぽくもあるような気が。基本的には剣とそれに携わる人々のちょっと怖くて不気味なお話。『茂助』が個人的には妙に記憶に残ります。2018/08/22
てっちゃん
5
幽剣抄のシリーズを知ったのは、三津田信三さんの編んだ「怪異十三」という本を以前読んだ事がきっかけ。そこに入っていた「茂助に関わる談合」という抄篇があまりにも面白かったのでこの本にたどり着いた。期待に違わぬ出来映えの素晴らしい怪談集。菊池秀行というとバイオレンスアクションのイメージが強いけど、異形コレクションなんかの短篇も面白いけど、この幽剣抄のシリーズは本当に正統派の怪談。こんな本に出会えるのも読書の楽しみだと思った。2024/10/11
権三郎
2
時代ホラー短編集。ユーモアただようものから陰惨な話までバラエティーに富み、面白い本でした。どの短編も面白かったけど一番怖かったのは、一切具体的な恐怖描写がなく、登場人物がただ俯いている「茂助に関わる談合」でした。2017/01/08
なおり
1
短編集。期待薄で読んだものの、意外とこの世界観は好きだった。女はしたたかなものですね。2013/08/08