内容説明
小早川咲、34歳。夫を事故で亡くし、息子の航と15年ぶりに戻った地元・葉山で、咲は周雲龍という中国人青年と出会う。事故で傷付いた航の心を開くため、釣り船の船頭である周と毎日一緒に釣りをすることに…。穏やかに笑い合う日々を過ごし、自然と惹かれ合っていく2人。やがて秘密の合図を使ったメッセージを送りはじめるが…。喪失と再生との間で揺れ動く想い。不器用な大人たちの切ない恋を描く上質の恋愛長篇。
著者等紹介
喜多嶋隆[キタジマタカシ]
5月10日東京生まれ。コピーライター、CFディレクターを経て、第36回小説現代新人賞を受賞し作家に。スピード感溢れる映像的な文体で、リリカルな物語を描き、多くの熱烈なファンを獲得している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
89
読了後、改めてタイトルをみてなるほどと。さすが喜多嶋先生、秀逸なタイトルをつけてくれます。主人公は事故で夫を亡くしたシングルマザー「咲」は34歳で幼い息子「航」と暮らしています。父親を亡くしたショックからか「航」は言葉を発さなくなり、意志も曖昧に表す毎日です。そんな低迷する日々を過ごしているトキに1人の船頭の青年「周」と出会います。飾り気のない純朴な彼に少しずつ惹かれ始めていきます。お互いがそれぞれに喪失と再生を抱え、不器用ながらも距離をちぢめていきます。相変わらずココロが洗われる喜多嶋作品、ステキです。2024/09/24
ゆうき
5
すごくよかった。あとがきにも書いてあったけど虹のような恋。ふいにあらわれ必ず消え去る…切なくて哀しい話だったけど前向きになれる話でした。2011/02/22
R2
3
自ら別れを告ぐ恋って、哀しい。けど、あとがの著者の考え通り、それが美しく前向きになれいいと思う。これが、今の自分には辛いとこ。2014/07/12
ツキスミ
3
とても読みやすい、恋の話。結末にハラハラしたが、あとがきを読んで、納得。 2011/07/18
Sachiko
2
人が結ばれるには、気持ちだけではなくタイミングもあるんだなぁ…2022/01/03