内容説明
南の島を旅するカメラマン。南の島から出てゆくロコ・ガール。潮風の中で、人生のターニング・ポイントを曲がる男、そして女。遠い海鳴りと同じように、揺れている恋がある。遠い追憶のように、砕けてゆく愛がある。陽射し。ヤシの葉音。通り雨。出会い。そして、長いお別れ―。それぞれの心が、夏という風景の中で、鮮やかに一瞬の時を紡ぎだす。人生にただ一度のSomethingを夏は、くれる。胸にしみる一杯のマルガリータにも似た、そんな、16編の夏物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
82
刊行されたのが昭和の60年、1985年で今から40年近くも前の作品ですから、やっぱり時代を感じます。でも、喜多嶋先生ならではのそんな雰囲気が懐かしくもあり、なんだかキモチが穏やかになれますね。夏をテーマにした16編からなるショートショートで、スッキリとさらさら読んでいけます。所々に描写される主人公の秘めたる想いに切なくもなります。夏が来るのを今か今かと待ちわびていながらも、来てしまうとあっという間に過ぎ去ってしまいますよね。本作のように色んな思い出がステキに記憶される、そんな夏が過ごせるといいですね。2024/07/14
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- 電子書籍
- 月刊WiLL 2017年 4月号