内容説明
1980年4月、90余年にわたる白人支配が終わりを告げ、アフリカに新たな独立国、ジンバブエ共和国が成立した。1代で巨富を築いた白人オズボーンは、この状況に危機を感じ、この国からの脱出を決意した―。時価2億6千万ドルの金塊と九人の傭兵を乗せた列車は、南アフリカのメシアを目指し、ひたすら走り続けた。成功報酬は1万ドル。色と欲、謀略と戦闘渦巻くなか、血塗られた傭兵たちに明日は来るのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
naimon
17
1982年、アフリカ南部ジンバブエの独立時点の物語。さすがの船戸与一の物語。逃げる白人に護衛の傭兵、二人の日本人に、ゲリラに政府軍。様々な思いが交錯し、アフリカの大地を血で染める。読後は、いつもの、なんともいいようのない虚無感。なお、作者の予想通り、白人所有資産に関して2000年8月に強制収用が始まり、さらに現在、ジンバブエは、ほぼ24時間で価格が2倍になる、というとんでもないインフレが発生している。2011/03/06
Katsuto Yoshinaga
2
大船戸の小説群の中では佳作だが、船戸史観においてはアフリカ現代史の、傭兵による一面を切り取った逸品である。かつてローデシアという国があったという事実、ジンバブエとなった後、その国について現代日本でとりあげられることはほとんどない。タイトルの「蛮賊」とは「傭兵」のことである。本書の舞台となっている80年代初頭のアフリカは、その傭兵どもという人種が現実に生き、跋扈する最適な地であったのだ。初版刊行時以来、改めて読み返すと、サム・ペキンパーのいくつもの映画作品と同じ匂いを感じる。2015/01/26
しょうゆ
2
ジンバブエを舞台にした下衆な成金と傭兵と軍隊の争い。結局、登場人物がみんな蛮族なんだろう。決してポップではないので読む人を選ぶ作家さんだと思うが、発展途上国の知られざる実情や、そこで苦しみながら生活する人々の心情を描ききるスタイルは健在。最後ため息をつきたくなる。2014/01/21
ゆきまる
1
結局は日本人二人が果たし合いで、両方とも死んだで幕切れとしたのかよ。ラストのまとめが悪い。2015/12/09
takehiro
1
何とも虚しい後読感。2016/01/30