内容説明
忘れようとしても、ついに忘れられなかった。殺してしまいたいほど憎くて、そして愛していた。草津の温泉旅館で、女は23年もの間、隠れるように暮らしてきた。そこへ、あの男が客として現われる。功なり名をとげた画家として。捨てられてから女はのたうって生きてきた。密やかな殺意は、今も静かにくすぶっている…。地獄から抜け出せなかった女たちが奏でる愛の旋律、全10編。文字が大きく読みやすい、待望の新装改版。
著者等紹介
平岩弓枝[ヒライワユミエ]
1932年、東京生まれ。日本女子大国文科卒。小説家を志し、戸川幸夫、長谷川伸に師事。59年、「鏨師」で第41回直木賞受賞。91年、『花影の花』で第25回吉川英治文学賞を受賞し、98年、第46回菊池寛賞を受賞。時代小説から現代小説まで幅広く手がけ、テレビドラマや芝居の脚本などでも活躍。2008年、『西遊記』で第49回毎日芸術賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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baba
25
挿画が村田涼平さんだったので手にとる。時代物と思っていたら国電の単語が出てくる、30代女性の短編集。幸薄い女性が多く、そのほとんどが周りの状況に諦めたり、自分を犠牲にしたりで当時の世相では仕方がないのであろうがイラッとしてしまう。2016/03/17
ゴルフが好き
1
好きなジャンルではないが… たまには。2017/11/10
ELM
0
描かれている女性たちが皆生々しい。もちろん女性達以外の人物達もとても生々しく繊細に、しかし形を持って描かれているのだが、やはり主題材となっている女性達の描写がなんとも素晴らしい。時に可愛らしく時に狂気に、そして哀しげに描かれる女性達。どの話も大変面白かった。 2011/06/08
なでしこ
0
図書館でたまたま目について借りた。 勝手に時代小説だと思いこんでいたので、少しびっくりした。 女性の哀れさが身につまされる内容だったが、読んでてイライラした。 2013/03/22
スギちゃん
0
物語の舞台は戦後の色濃い昭和。薄幸の女性たちが主人公の短編集です。全ての女性がハッピーエンドになるわけではないので今度はどっちだろうとドキドキしながら読み進めました。 職業の記述については今の時代にそぐわないものもありましたが、却って時代小説、フィクションの要素を強めて読めたように思います。2020/12/31