内容説明
リストラされ、女房にも逃げられた57歳の上條真二郎。さえない毎日を送っていたが、大学時代の同人誌仲間で出版社に勤める旧友から官能小説を書くことを勧められる。題材を探しに隅田川沿いを散策していると、橋に佇む女がひとり。肉感的な姿に惹かれ、彼女の後をついて行きながら、久しく忘れていた若い頃の熱情が呼び醒まされるのを感じる。東京下町で繰り広げられる大人の恋愛模様。不器用な男の仕事と恋の冒険。
著者等紹介
藤田宜永[フジタヨシナガ]
1950年福井県生まれ。早稲田大学中退後、渡仏。エール・フランスに勤務し、帰国後、86年に『野望のラビリンス』で小説デビュー。95年に『鋼鉄の騎士』で日本推理作家協会賞、99年に『求愛』で島清恋愛文学賞、2001年に『愛の領分』で第125回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロマンチッカーnao
12
主人公と同世代の50代半ばです。失業も同じ年頃で経験しました。その経験からすると、同世代の男の夢物語です。失業者だけどお金に困っているようには見えないし、なぜか、女性にモテる。大学時代に同人誌を書いていた出版社勤務の友人に官能小説を書かないかと、もち書けられ書いている。こんな都合のいい話は無いけれど、いくつになっても夢物語って必要だと思うので、こういう小説もありかなと思いながら読みました。2024/08/21
MIKETOM
9
突然妻から離婚を突きつけられ、ほぼ同時にリストラされてしまった57歳。心機一転向島の古いアパートに居を構え第二の人生をやり直す。出版業界の友人からエロ小説を書くことを勧められ、苦心惨憺で書き始めたり。そしてその友人の部下である、若くて美人でスタイルがよくて明るくて、そしてしょぼくれたオッサンが大好きという女の子に一方的に惚れられ迫られる。その一方、偶然知り合ったミステリアスで投げやりな雰囲気の若い女に惚れてしまい…。まあ、しょぼくれた初老の男に都合のいい、身勝手気ままな小説かな。登場人物が多く→2025/03/21
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7
初読みの作家さん。もっとシリアスで殺伐とした話かと思ったら、恋愛ものだけどドロドロもない、なかなか読まない類の小説でした。内容的には改題前の「幸福を売る男」の方がピンとくるかな。還暦直前、金と時間があればこんな生活もまた楽しいかな。確かに内勤研究職だと人との出会いや付き合いも限られるからね。でも、モテ期はもっと若い時に来てほしいなぁ。2025/10/26
よっしー
6
★3 リストラ、離婚した後に、こんなに上手く若い女性と、思ってしまう。だが、男はいくつになっても都合よく夢見がちなんだろうな。2016/08/26
ジュール
5
途中で再読に気づく。 リストラされ、離婚されたさえない60前の主人公が向島の狭いマンションに移り住む。 大学の友人の勧めでポルノ小説を書き始める。 ただしょぼくれた中年好みの美女とねんごろになったり、あこがれの女性と親密になったり。 幸せを売る男といっても、都合よすぎないか?2017/08/22




