内容説明
この街にくるべきでない若者が入り込んできた。高岸と名乗る男は、あの川中良一の部下で、宇野という弁護士を執拗に追い続けていた。その直後、私は街の長老・久納義正から直々に宇野の護衛を依頼される。宇野の表向きの仕事はバレンシアホテルの買収交渉。だが、その裏ではこの街を分断する権力抗争が始まっていた。私はまた絶望の渦中へと踏み込んでゆく。ソルティと川中の新たな戦い。そして最大の危機が迫る―。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞を、85年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を、91年『破軍の星』で柴田錬三郎賞を、2004年『楊家将』で吉川英治文学賞を、06年『水滸伝』(全19巻)で司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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琵音
4
やっぱり姫島のじいちゃんが若いの蹴落としてかっこいい。水村が単に人見知りで無愛想だっただけなのが判明してきている。それで強ければそりゃ立派なリーサルウェポンだわ。ヤクザの崎山もまた出てこないかな。坂井や高岸は川中他の傍でハードに鍛えられ一端の男になっていっている。でも全員そろって身近にいて欲しくない。2013/01/04
TakeROC
3
進行が止まりガラケーをスマホに代えた義父からの頂き本。仕掛けが複雑、巧妙で老獪なのだけど、決着はパワーゲームを匂わせながらの意外なやり方。北方先生とはいえ、少し狡いと言わせてもらう。本作はオンナ必要ないのよね。流儀を大事に出しちゃったというところでしょうね。最近は海上戦でしたが、この仕掛けだと寝泊りにしか使えず、おかげで、地に足のついた印象はある。登場人物達は持ち場を守り、イキイキしているのだけど、誰かは死なないとならぬように、犬死には起こる。酷かったな。死なさなくても良いし、撃たれる必要もない。不思議。2018/10/06
gan
2
ブラッドドール2018/10/20
風鈴
2
今回も進行役はソルティこと若月。 そんなソルティの目から見て「そいつはこの街に来るべき人間ではなかった」そんな風に見える男がブラディドールシリーズでは、高校生で鉄砲玉として川中を狙った高岸。 車の運転を覚えたばかりだった彼が恩師の想いが詰まった愛車86を自在に運転する姿だけでもワクワクしてしまいます! ストーリーはいよいよ佳境に向かうこともあり、久納家の骨肉の争い、それを憂う姫島の爺さん、ブラディドールからは川中、坂井、宇野、高岸、遠山。街シリーズも含めてフルキャストで描かれて行く。2018/05/22
さめ
2
久々にハードボイルドな感じだったので読んでみた。といっても、かなり前から持っていたんだけど…。ブラディドールシリーズとのリンクは良くもあり悪くもあり、かな。約束の街シリーズはそこだけでの世界、つまりシリーズ当初も良かったし。これで、ソルティはどう変わるのかな?次作が気になる。2015/06/15