内容説明
房総の豊かな海に浮かぶ小島・美瀬島で生まれた紗枝子は幼い頃、深夜に叔父たちが「人の形をしたもの」を運んでいるのを目にした。「西風でいい送りになったなあ」と語る彼らの声にただならぬものを感じた紗枝子は、恩師が叔父と結婚すると聞き、婚約を破棄させた。その後恩師は謎のメッセージを残して失踪、浅見光彦は紗枝子の恩師捜しも請け負った。哀しみの因習に縛られた島で名探偵が解き明かす、連続失踪事件の驚愕の真実とは。
著者等紹介
内田康夫[ウチダヤスオ]
東京都出身、現在は軽井沢に在住。1980年、『死者の木霊』を自費出版してデビュー。82年には、浅見光彦が初めて登場する『後鳥羽伝説殺人事件』を上梓。以来、全国を旅して日本人の心の琴線に触れるミステリーを書き続けている。07年、全著作累計部数が1億部を突破。08年3月、第11回日本ミステリー文学大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roomy
26
生まれ育っていない場所をここまで思うことができるのかな〜とちょっと疑問に思った。島と言う閉鎖された場所という怖さからドキドキしながら一気に読了。軽めの作品が続いていたけれどこれはかなり読み応えがありました。2016/01/27
あかつや
7
古くからのやべえ因習が残る島の話かと思いきや、それよりもっとキナ臭く国際的にやべえ島じゃねえか。いまこんなことやってたとしたら制裁破りで国連に怒られちゃう、やばいやばい。全部読み終えて真っ先に出てきた感想は、いやいやいかんでしょ、だった。浅見さんの物差しだとそんなに悪くないことらしいが、表に出てきた殺人事件よりもずっと怖いことだと思うんですが。地上の楽園にお帰りになるみなさんが、地下組織がどうのと寝ぼけたことをおっしゃっているのもまたなんだかなあ。でも小説としてはいろんなドキドキ展開が多くて面白かった。2019/10/17
χ
5
目まぐるしい展開なのはプロットなしだからか。動機や犯行が無理ないように感じた。検証したら出てくるかも。正義感と優柔不断とも言える優しさがこのシリーズの醍醐味。展開を考えながら作ると矛盾ができるのだがそれが人間の複雑さをキャラに与えてるようである2019/11/08
Ayah Book
5
読み終わってみたら結構社会派の作品だった。それはいいのだが、肝心のミステリ部分が早い時点で解明されてしまうのがどうも。。。あと、浅見はおとなしそうな顔をしているが案外意地悪だと思った。2017/05/11
a
3
壮大で、切ない結末の物語。帰る場所、帰りたいと思える場所を求めるのは万国共通の思いなのかもしれない。2020/07/02