内容説明
利尻山登山道で男性の凍死体が発見された。被害者は富沢春之。通信機メーカーの技術者だった。警察が自殺として処理しようとする中、浅見光彦は同地出身の北海道沖縄開発庁長官・秋元より、兄・陽一郎を通じて真相究明の依頼を受ける。被害者が遺した「プロメテウスの火矢は氷雪を溶かさない」という言葉と1枚のCD。国防を巡る巨悪に、光彦と陽一郎はどう立ち向かうのか。日本人が喪った「覚悟」を真摯に問う社会派ミステリー。
著者等紹介
内田康夫[ウチダヤスオ]
東京都出身、現在は軽井沢に在住。1980年、『死者の木霊』を自費出版してデビュー。82年には、浅見光彦が初めて登場する『後鳥羽伝説殺人事件』を上梓。以来、全国を旅して日本人の心の琴線に触れるミステリーを書き続けている。また、2006年4月に刊行された『棄霊島』(文藝春秋)で名探偵・浅見光彦は100番目の事件に挑戦するという偉業を成し遂げた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あつひめ
77
北海道の利尻。行ってみたいところのひとつだ。浅見さん、日本全国行かないところはないくらいいろんな所に行くんだなぁ。今回は、兄上からの依頼の仕事とあって、巻き込まれる…というよりは最初から捜査だったから、旅としての味わいが少なくて残念だったなぁ。国の問題として公に操作できないことを捜査する浅見さんの脳みそはやはり、只者ではないなぁ。次は、旅を楽しみたいなぁ。2014/10/14
roomy
23
読み応えありました。陽一郎さんがかなり出てきてよかったです。浅見光彦の想像力がすごい!と思いましたがそれも内田さんの世界なので作者が一番すごい。2016/02/17
ひまわり
4
利尻島で起きた殺人事件ということで読みたくなった。訪れた場所,分かる地名。だと尚更楽しめる浅見光彦シリーズ。2023/03/10
みぃ
3
★★★☆☆ 3.5 浅見光彦シリーズ作品。いつものような旅情ミステリーとはちょっと異なり、陽一郎さんと巨悪に立ち向かう…という感じ。最後はきれいすぎる。2016/08/19
しんすけ
3
暴力団自民党が、再軍備を急ぐのは私利私欲のためだ。そう思わせる読書だった。主題は防衛庁の汚職とそれに絡まる殺人事件だ。北朝鮮のテポドンが騒がれていた時代といえば、確かに防衛庁がらみの胡散臭い事件が頻発した時代である。海外の脅威を建前に軍備強化を推進し一部の人間が甘い汁を吸っていた。20年前の話だが、今にも通じるこの話には、日本と云う国に胡散臭ささを知覚して空恐ろしくなった。推理小説としては面白い作品になっているのだが、今という現実がダブルためか、時折起こる胸苦しさは耐え難いものだった。2015/07/03